未払い賃金立替払請求手続の流れ
未払い賃金立替払い制度を利用するためには,破産管財人等の証明者から未払い賃金があることの証明を受けた上で,労働者健康安全機構に対して未払い賃金立替払請求書を提出して未払い賃金立替の請求をしなければなりません。請求につき労働者健康安全機構において審査が行われ,請求が認められた場合には,労働者に対して未払い賃金の立替払いがされます。立替払いをした場合,労働者健康安全機構は,求償権について債権者として倒産手続に参加することになります。
以下では,未払い賃金立替払請求手続の流れについて,東京 多摩 立川の弁護士が詳しくご説明いたします。
- 未払い賃金の確認
- 未払い賃金立替払請求書の作成
- 破産管財人等による証明
- 労働者健康安全機構に対する未払い賃金立替払請求
- 労働者健康安全機構による審査
- 未払い賃金の立替払い
- 倒産手続における立替金の処理
未払い賃金の確認
未払い賃金立替払制度を利用したとしても,未払いになっているすべての給付が支払われるわけではありません。
未払い賃金立替払制度によって支払われるのは,退職日の6か月前の日から同制度による立替払い請求の日の前日までの間に支払日が到来している「定期賃金」と一定額の「退職金・退職手当」だけです。
したがって,未払いになっている使用者からの給付にどのようなものがあるのか,未払い金額はいくらになっているのかを確認しておく必要があります。
内容や金額が不明な場合には,使用者・会社やその代理人弁護士,または,倒産手続が始まっているのであれば破産管財人,監督委員,更生管財人などに確認をとっておくべきでしょう。
使用者側としては,従業員ができる限り円滑に未払い賃金立替払いを受けられるように,未払い賃金の金額などをあらかじめ確認しておき,すぐに従業員に教えることができるように準備しておいた方がよいでしょう。
未払い賃金立替払請求書の作成
未払い賃金立替払い制度を利用するためには,独立行政法人労働者健康安全機構に対して,未払い賃金立替払いを請求する必要があります。
この未払い賃金立替払い請求は,未払い賃金立替払請求書を提出する方法によって行います。したがって,まずは,未払い賃金立替払請求書を作成しておかなければなりません。
未払い賃金立替払請求書は,各地の労働基準監督署に行けばもらうことができますし,また,労働者健康安全機構のホームページからダウンロードすることも可能です。
労働者健康安全機構のホームページなどでは未払い賃金立替払請求書の記載例も用意されていますので,それに従って必要事項を記入して作成すれば,それほど難しいものではありません。
倒産した使用者・会社側で請求書等を準備しておき,従業員に記載してもらうこともあります。
破産管財人等による証明
未払い賃金立替払請求書をただ労働者健康安全機構に提出するだけでは,未払い賃金立替払い制度を利用することはできません。
未払い賃金立替払請求を利用するためには,一定の「証明者」から,未払い賃金があることの証明書を発行してもらう必要があります。
使用者・会社が破産手続中であれば破産管財人から,特別清算手続中であれば特別清算人,民事再生手続中であれば再生債務者(使用者・会社またはその代理人),会社更生手続中であれば更生管財人から,証明書を発行してもらうことになります。
事実上の倒産である場合には証明者がいませんので,使用者・会社を管轄する労働基準監督署長に倒産の認定申請をした上で,その認定を受けた後に未払い賃金があることの確認申請をして,未払い賃金があることを証明してもらう必要があります。
労働者健康安全機構の未払い賃金立替払請求書の書式は証明書と一体となっていますので,請求書部分を作成した上でそれを証明者に提出して,証明をしてもらうことになります。
実務上は,使用者・会社側で従業員の請求書を取りまとめて破産管財人等に提出することがあります。
労働者健康安全機構に対する未払い賃金立替払請求
未払い賃金立替払請求書を作成し,それについて破産管財人等の証明者による証明を得ることができたら,その請求書と証明書を労働者健康安全機構に提出して未払い賃金立替払いを請求します。
破産管財人等に証明のために請求書を提出している場合には,その破産管財人等から労働者健康安全機構に対して請求書を提出してくれることもあります。
使用者・会社側で従業員の請求書・証明書を取りまとめて労働者健康安全機構に提出することもあります。
労働者健康安全機構による審査
未払い賃金立替払請求がされると,労働者健康安全機構において審査が行われます。
この審査においては,未払い賃金があるのか,その金額が正しいのかなどについての証拠の提出を求められることがあります。
例えば,従業員名簿,賃金台帳,給与明細書,就業規則,雇用契約書などがあります。
労働者側では従業員名簿や賃金台帳などを持っていないのが通常です。その場合には,使用者・会社側で準備をしておき,労働者健康安全機構に提出します。
破産管財人等にすでに証拠資料を提出している場合には,その破産管財人等から労働者健康安全機構に提出することもあります。
未払い賃金の立替払い
労働者健康安全機構において未払い賃金があると認定されれば,その未払い賃金について,労働者に対して立替払いがされます。
倒産手続における立替金の処理
なお,立替払いを受けた労働者には関係がないことですが,未払い賃金立替払いがなされた場合,労働者健康安全機構は立替払いをした金額分について求償権を取得することになります。
そのため,立替払いをした場合,労働者健康安全機構はその求償権について債権者として倒産手続に参加することになります。
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