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未払い賃金立替払制度の事業主に関する要件とは?

未払い賃金立替払い制度を利用するためには,事業主に関する要件として,①事業主が,労災保険の適用事業として,労働者を使用して1年以上事業を行っていたこと,②事業主が,破産法に基づく破産手続,会社法に基づく特別清算手続,民事再生法に基づく民事再生手続,または,会社更生法に基づく会社更生手続の開始決定を受けたこと,もしくは,事業活動に著しい支障を生じたことにより,労働者に賃金を支払えない状態(事実上の倒産状態)になったことについて労働基準監督署長の認定があったことが必要となります。

以下では,未払い賃金立替払い制度を利用するための事業主に関する要件にはどのようなものがあるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士が詳しくご説明いたします。

未払い賃金立替払い制度の事業主に関する要件

会社など法人が倒産したことにより賃金を支払ってもらえないまま退職を余儀なくされた従業員・労働者を救済するため,独立行政法人労働者安全健康機構が倒産した法人に代わって未払い賃金などを立替払いしてくれる「未払い賃金立替払い制度」という公的制度が設けられています。

もっとも,この未払い賃金立替払い制度はどのような場合でも利用できるわけではありません。法律で定められた一定の要件を満たしていなければ利用できません。

この未払い賃金立替払制度の利用要件には,事業主に関するものもあります。未払い賃金立替払制度における事業主に関する要件としては,以下のものがあります。

  • 事業主が,労災保険の適用事業者として,1年以上の期間にわたって労働者を使用して事業を行っていたこと
  • 事業主が,破産法に基づく破産手続,会社法に基づく特別清算手続,民事再生法に基づく民事再生手続,または,会社更生法に基づく会社更生手続の開始決定を受けたこと,もしくは,事業活動に著しい支障を生じたことにより,労働者に賃金を支払えない状態(事実上の倒産状態)になったことについて労働基準監督署長の認定があったこと

>> 未払い賃金立替払い制度の利用要件とは?

労働者を使用して1年以上事業活動を行っていたこと

未払い賃金立替払制度を利用するためには,倒産した事業主・使用者が,労働者を使用して1年以上事業活動を行っていたことが必要です。

まったく事業を行っていないのであれば,未払い賃金立替払い制度を利用することはできません。

事業を行っていたとしても,労働者を使用して事業を行っていたものでなければなりません。

ここでいう「労働者」には,同居の親族は含まれません。したがって,同居の親族しか従業員がいない事業については,未払い賃金立替払い制度は利用できないということです。

また,労働者を「使用」していたことが必要です。使用とは,要するに,事業主とその従業員との間の契約関係が雇用・労働契約であるということです。

事業主とその従業員との間の契約関係が請負契約や委任契約関係の場合には,労働者を「使用」していたとはいえません。

ただし,形式上は請負契約や委任契約であっても,実質的には雇用・労働契約であると言える場合には,労働者を「使用」しているものと認められることはあり得ます。

なお,未払い賃金立替払制度を利用するためには,当該事業主が労働者を使用して「1年以上」事業を行っていたことも必要とされています。

したがって,法人・会社の設立は1年以上前であっても,労働者を使用して事業を行うようになったのは1年未満であるという場合には,未払い賃金立替払制度を利用することはできません。

労災保険の適用事業であったこと

未払い賃金立替払制度を利用するためには,倒産した事業主・使用者の事業が,労働保険の適用事業であったことも必要です。

もっとも,労働保険法によれば,事業の種類を問わず,労働者を使用する国内事業場は労災保険の適用事業となるのが原則とされています。

したがって,前記「労働者を使用して1年以上事業を行っていたこと」の要件を充たす場合には,労災保険の適用事業であることの要件も充たしていることになるのが原則ということになります。

ただし,国の直営事業・非現業官公署の事業,船員保険の被保険者については,労災保険の適用事業とならないとされていますので,それらの事業の従業員は,未払い賃金立替払制度を利用することはできません。

また,個人経営の農林水産事業者は暫定任意的適用事業とされ,労災保険に加入するかどうかを選択できるとされていますので,当該事業主が労災保険に加入しないことを選択した場合には,未払い賃金立替払制度を利用することはできないことになります。

破産手続等を開始したこと

未払い賃金立替払制度を利用するためには,事業主が破産手続開始の決定等を受けたことも必要です。

具体的にいえば,以下のいずれかの要件を充たしていることが必要ということです。

  • 事業主が裁判所により破産手続開始決定を受けたこと
  • 事業主が裁判所により特別清算開始決定を受けたこと
  • 事業主が裁判所により民事再生手続開始決定を受けたこと
  • 事業主が裁判所により会社更生手続開始決定を受けたこと
  • 事業主が労働基準監督署長により事実上の倒産認定を受けたこと

未払い賃金立替払制度は,倒産した事業主に雇用されていた労働者の救済手続ですから,事業主が倒産していることが前提となります。

破産・特別清算・民事再生・会社更生など法的整理の倒産手続の場合には,裁判所による手続開始決定を受けていることが必要となります。

法的整理でない場合には,本当に事業主が倒産しているかどうかは明確とはいえないので,労働基準監督署に倒産認定の申請を行い,同署長により倒産認定を受けたものでなければ,未払い賃金立替払制度を利用することはできません。

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