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未払い賃金立替払い制度とは?

未払い賃金立替払い制度とは,会社など法人が法的倒産手続をとったために,賃金が支払われないまま労働者が退職を余儀なくされた場合,「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて,独立行政法人労働者健康安全機構が,その法人に代わって,賃金の一部を労働者に支払うという公的制度のことをいいます。

以下では,未払い賃金立替払い制度とはどのような制度なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士が詳しくご説明いたします。

法人の倒産と労働者の未払い賃金立替払い制度

会社など法人が倒産した場合,その法人の労働者は,給料などの賃金を支払ってもらえなくなる可能性があります。

特に,法的整理倒産手続破産特別清算民事再生会社更生)の場合は,賃金の未払いがあるまま解雇されるということもあり得ます。

しかし,いかに法的整理でやむを得ないといっても,賃金は労働者の生活の糧になる重要な収入源です。これがまったく支払われないことになると,労働者は当面の生活すら送れなくなる恐れがあります。

そこで,労働者を救済するための公的制度として「未払い賃金立替払い制度」が設けられています。

すなわち,未払い賃金立替払い制度とは,使用者である法人が倒産したために,賃金が支払われないまま労働者が退職を余儀なくされた場合に「賃金の支払の確保等に関する法律」に基づいて,独立行政法人労働者健康安全機構(平成28年4月1日に,独立行政法人労働者健康福祉機構から名称変更されています。)が,その法人に代わって,賃金の一部を労働者に支払うという公的制度のことをいいます。

仮に,勤務先の会社・法人が法的整理手続を申立て,給料などが未払いであったという場合には,この未払い賃金立替払い制度を利用すれば,一定の範囲で,その未払いの給料などを支払ってもらうことができます。

この未払い賃金立替払い制度は,もちろん労働者側で手続をとることができますが,会社・法人側で用意をしておくということも可能です。

実務的には,労働者からの反発を軽減するために,会社・法人の側で準備をしておくというのが通常でしょう。

>> 未払い賃金立替制度の概要(労働者健康安全機構HP)

未払い賃金立替払い制度利用のための要件

未払い賃金立替払い制度は,労働者にとってはもちろん,倒産手続をとろうとする会社など法人にとっても,賃金の支払いを抑えて申立ての費用を確保でき,労働者の反発を緩和させることができるというメリットがあります。

もっとも,どのような場合でも利用できるというわけではありません。未払い賃金立替払い制度を利用するためには,以下の要件を満たす必要があります。

  • 事業主が,破産法に基づく破産手続,会社法に基づく特別清算手続,民事再生法に基づく民事再生手続,または,会社更生法に基づく会社更生手続の開始決定を受けたこと,もしくは,事業活動に著しい支障を生じたことにより,労働者に賃金を支払えない状態(事実上の倒産状態)になったことについて労働基準監督署長の認定があったこと
  • 事業主が,労災保険の適用事業者として,1年以上の期間にわたって労働者を使用して事業を行っていたこと
  • 未払い賃金があったとする期間中に,当該使用者・事業主に雇用され,労働基準法上の労働者として勤務していた者であること
  • 労働者が,使用者たる法人による破産手続開始の申立て,特別清算手続開始の申立て,民事再生手続開始の申立て,会社更生手続開始の申立て,または,事実上の倒産について労働基準監督署長の認定の申請の前6か月前の日から2年間以内に退職した者であること
  • 請求する賃金が定期賃金・退職金であること
  • 退職日の6か月前から立替払い請求日までの間に支払期日が到来する未払い賃金であること
  • 未払い金額が2万円以上であること
  • 所定の手続に従って未払い賃金立替払請求をしたこと
  • 破産手続開始日,特別清算手続開始日,再生手続開始日,更生手続開始日または労働基準監督署長による倒産認定日の翌日から2年以内に請求されたものであること

>> 未払い賃金立替払い制度の利用要件とは?

未払い賃金立替払い制度によって支払われる賃金の範囲

前記要件を満たしている場合には,未払い賃金立替払い制度を利用することが可能です。

ただし,未払い賃金立替払い制度を利用したとしても,必ず支払いが認められるわけではありません。

未払い賃金立替払い制度によって支払いを受けられるのは,退職日の6か月前から未払い賃金立替払い制度による独立行政法人労働者健康安全機構への請求をした日までの間のものに限られます。

また,未払い賃金立替払い制度の対象となるのは,定期賃金と退職金に限られます。

解雇予告手当,賞与・ボーナス福利厚生として支払われる給付,通勤手当などの実費,未払い賃金に対する遅延損害金は含まれていません。

さらに,支払いが認められるとしても,未払い分の全額を支払ってもらえるわけではありませんので,その点については注意が必要です。

未払い賃金立替払い制度によって支払われる金額は,原則として未払い金額の8割ですが,以下のとおり,一定の上限額が決められています。

  • 退職日時点の年齢が45歳以上の場合:未払い賃金の金額上限は370万円,立替払いの金額上限は296万円
  • 退職日時点の年齢が30歳以上45歳未満の場合:未払い賃金の金額上限は220万円,立替払いの金額上限は176万円
  • 退職日時点の年齢が30歳未満の場合:未払い賃金の金額上限は110万円,立替払いの金額上限は88万円
  • 上記基準を超える未払い賃金がある場合には,上記年齢ごとの区分に応じた限度額の8割の金額

>> 未払い賃金立替払い制度によって支払われる賃金はどのくらいか?

未払い賃金立替払請求の手続

未払い賃金立替払い制度を利用するためには,労働者健康安全機構に対して未払い賃金立替払請求をする必要があります。

未払い賃金立替払請求書の書式は,労働者健康安全機構において用意されています。この請求書に必要事項を記載して提出します。

ただし,この請求書には証明書の添付が必要です。破産手続であれば,破産管財人の証明が必要となります。

証明を受けるためには,賃金台帳等の資料の提出が必要となります。通常は,事業主側で用意をしておかなければならないでしょう。

未払い賃金立替払請求書と証明書を労働者健康安全機構に提出し,同機構において審査が行われます。その審査に通れば,未払い賃金が支払われることになります。

>> 未払い賃金立替払請求手続の流れ

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