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経営者保証ガイドライン

経営者保証ガイドラインによる保証債務整理の要件とは?

経営者保証に関するガイドライン(経営者保証ガイドライン)を利用して保証債務を整理するためには,①主たる債務者が中小企業であること,②保証人が経営者個人であること,③主たる債務者・保証人が弁済について誠実であること,④主たる債務者・保証人が財産・負債状況等について適時適切に開示していること,⑤主たる債務者・保証人が反社会勢力でないこと,⑥主たる債務者が法的整理手続または準則型債務整理手続の申立てを行っていること,⑦対象債権者にとっても経済的合理性が見込まれること,⑧保証人に免責不許可事由およびそのおそれがないこと,などの要件が必要となります。

以下では,経営者保証ガイドラインによる保証債務整理の要件について,東京 多摩 立川の弁護士が詳しくご説明いたします。

経営者保証ガイドラインによる保証債務整理の要件

法人・会社の債務について,代表者や経営者などが連帯保証人になっている場合があります。

この場合に,主たる債務者である法人・会社が倒産した場合,その連帯保証人である代表者・経営者などが保証債務を支払わなければならない義務を負うことになります。

この保証債務を代表者・経営者などが個人資産で返済しきれない場合,その代表者・経営者なども,何らかの債務整理を行わなければならないことがあります。

その保証債務整理の方法の1つとして「経営者保証に関するガイドライン(経営者保証ガイドライン)」を利用するという方法があります。

経営者保証ガイドラインは,経営者保証による弊害を除去することによって,新規の起業,思い切った事業展開,早期の事業再生や清算を促進するために設けられたルールです。

主たる債務者である法人・会社が倒産手続をとる場合も,保証債務を整理するためにこの経営者保証ガイドラインを利用することが可能です。

保証債務を整理するために経営者保証ガイドラインによる保証債務整理を行う場合の要件は,以下のとおりです。

  • 保証契約の主たる債務者が中小企業であること
  • 保証人が個人であり,主たる債務者である中小企業の経営者(または,実質的な経営権を有している者・営業許可名義人・経営者とともに事業に従事する配偶者の配偶者)であること。
  • 主たる債務者および保証人の双方が弁済について誠実であること
  • 対象債権者の請求に応じ,それぞれの財産状況・負債の状況等について適時適切に開示していること
  • 主たる債務者および保証人が反社会的勢力ではなく,そのおそれもないこと
  • 主たる債務者が法的債務整理手続破産手続民事再生手続会社更生手続特別清算手続)の開始申立て,または,利害関係のない中立かつ公正な第三者が関与する準則型私的整理手続(中小企業再生支援協議会による再生支援スキーム・事業再生ADR・私的整理ガイドライン・特定調停など)の申立てを,経営者保証ガイドラインの利用と同時に現に行い,または,これらの手続が係属し,もしくは既に終結していること
  • 主たる債務者の資産・債務および保証人の資産・保証債務の状況を総合的に考慮して,主たる債務および保証債務の破産手続による配当よりも多くの回収を得られる見込みがあるなど,対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できること
  • 保証人に破産法第252条第1項(第10号を除く。)に規定される免責不許可事由が生じておらず,そのおそれもないこと
  • 保証債務について準則型私的整理手続を利用すること
  • 弁済計画について対象債権者の全員の同意があること

>> 経営者保証に関するガイドラインとは?

経営者保証ガイドラインの対象債権者

経営者保証ガイドラインを利用した私的整理における「対象債権者」とは,主たる債務者である中小企業に対する金融債権を有する金融機関等であって,現に経営者に対して保証債権を有するもののうち,成立した弁済計画により権利を変更されることが予定されている保証債権の債権者のことをいいます。

つまり,経営者保証ガイドラインを利用した私的整理によって整理できる負債は,法人・会社の金融機関からの負債についての保証債務であるということです。

金融機関からの保証債務以外の債務,例えば,リースや仕入先からの保証債務や代表者・経営者等の個人の債務は,経営者保証ガイドラインを利用した私的整理の対象にならないのが原則です。

ただし,弁済計画の履行に重大な影響を及ぼすおそれがある債権者は,対象債権者に含めることができるとされています。

主債務者が中小企業であること

経営者保証ガイドラインを利用するためには,対象債権者との間の保証契約の主たる債務者が中小企業であることが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号イ,3項1号)。

ただし,必ずしも中小企業に限定されるわけではなく,大企業や企業でない法人,個人事業者であってもよいとされています。

もっとも,主たる債務者が事業者でない個人である場合の保証債務には,経営者保証ガイドラインを利用することができません。

保証人が中小企業の経営者等であること

経営者保証ガイドラインを利用するためには,対象債権者との間の保証契約の保証人・連帯保証人が,主たる債務者である中小企業の経営者であることが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号イ,3項2号)。

ただし,以下の保証人については,経営者でなくても,経営者保証ガイドラインの適用が可能とされています。

  • 実質的な経営権を有している者
  • 営業許可名義人
  • 経営者とともに事業に従事する経営者の配偶者
  • 経営者の健康上の理由のために保証人となっている事業承継予定者

弁済について誠実であること

経営者保証ガイドラインを利用するためには,主債務者である法人・会社と保証人の双方が弁済について誠実であることが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号イ,3項3号)。

債務整理等を行う前に主たる債務や保証債務について債務不履行があったというだけでは,弁済について誠実でないとはいえません。

債務不履行により弁済について誠実でないといえるかどうかは,債務不履行の金額及びその態様,私的流用の有無等を踏まえた動機の悪質性といった点を総合的に勘案して判断すべきと考えられています。

粉飾決算をしていた場合も問題となり得ますが,債務不履行と同様,粉飾の程度や態様,私的流用の有無等を踏まえた動機の悪質性といった点を総合的に勘案して判断すべきでしょう。

また,私的整理の場面で,破産における自由財産などを弁済計画に含めなかったとしても,弁済について誠実ではないことにはなりません。

財産・負債状況を適時適切に開示していること

経営者保証ガイドラインを利用するためには,主債務者である法人・会社と保証人の双方が,対象債権者の請求に応じ,それぞれの財産状況・負債の状況等について適時適切に開示していることが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号イ,3項3号)。

当然のことですが,主たる債務者である法人・会社の財産や負債,保証人の財産や負債について,隠匿したり,虚偽の情報を開示するなどしてしまった場合には,経営者保証ガイドラインを利用することはできません。

反社会勢力でないこと

経営者保証ガイドラインを利用するためには,主債務者である法人・会社と保証人が反社会的勢力ではなく,そのおそれもないことが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号イ,3項4号)。

主債務者または保証人が反社会勢力であるか否かは,対象債権者が判断することになります。

主債務者が倒産手続をとっていること

経営者保証ガイドラインによる保証債務整理を利用するためには,主債務者である法人・会社が,以下の手続開始の申立てを経営者保証ガイドラインの利用と同時に現に行い,または,以下の手続が係属し,もしくは既に終結していることが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号ロ)。

  • 裁判所における法的債務整理手続(破産手続・民事再生手続・会社更生手続・特別清算手続)
  • 利害関係のない中立かつ公正な第三者が関与する準則型私的整理手続(中小企業再生支援協議会による再生支援スキーム・事業再生ADR・私的整理ガイドライン・特定調停など)

つまり,経営者保証ガイドラインを利用した保証債務の整理をするためには,それと同時に,あるいは先行して,主たる債務者である法人・会社について法的整理手続や準則型私的整理手続を申し立てていなければならないということです。

主たる債務者である法人・会社については倒産手続をとらずに,経営者保証ガイドラインを利用した保証債務整理をすることはできません。

ただし,現実的には難しいかもしれませんが,法的整理手続や準則型私的整理手続をとらずに,対象債権者との間で,経営者保証ガイドラインに即した合意をすることは可能です。

対象債権者にとって経済的合理性があること

経営者保証ガイドラインによる保証債務整理を利用するためには,対象債権者にとっても経済的合理性が期待できることが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号ハ)。

対象債権者にとって経済的合理性が期待できる場合とは,主たる債務者の資産・債務および保証人の資産・保証債務の状況を総合的に考慮して,主たる債務および保証債務の破産手続による配当よりも多くの回収を得られる見込みがある場合などです。

具体的には,以下の場合には,破産手続による配当よりも多くの回収を得られる見込みがあると判断されます。

  • 主債務者である法人・会社が再建型の手続をとる場合には,主債務および保証債務の弁済計画に基づく回収見込額(保証債務の回収見込額については,合理的に見積りが可能な場合)の合計金額が,現時点において主債務者および保証人が破産手続を行った場合の回収見込み額の合計金額を上回る場合
  • 主債務者である法人・会社が第二会社方式による再生を図る場合には,会社分割または事業譲渡後の承継会社からの回収見込額および清算会社からの回収見込額,ならびに,保証債務の弁済計画に基づく回収見込額の合計金額が,現時点において主債務者および保証人が破産手続を行った場合の回収見込み額の合計金額を上回る場合
  • 主債務者である法人・会社が清算型手続をとる場合には,現時点において清算した場合における主債務の回収見込額および保証債務の弁済計画に基づく回収見込額の合計金額が,過去の営業成績等を参考としつつ,清算手続が遅延した場合の将来時点(将来見通しが合理的に推計できる期間として最大3年程度を想定)における主債務および保証債務の回収見込額の合計金額を上回る場合

保証人に破産における免責不許可事由がないこと

経営者保証ガイドラインによる保証債務整理を利用するためには,保証人である代表者・経営者個人に,破産における免責不許可事由に該当する事由が無く,そのおそれも無いことが必要です(経営者保証ガイドライン7項1号二)。

免責不許可事由とは,それが存在すると,個人破産における免責手続において,免責が不許可とされる事由のことをいいます。免責不許可事由は,破産法252条1項に列挙されています。

例えば,財産を不当に処分してしまったり,ギャンブルや浪費で債務を増大させてしまったりするような行為が免責不許可事由に該当します。

この免責不許可事由に該当する事由がある場合には,経営者保証ガイドラインによる保証債務整理を利用することができません。

また,過去に免責不許可事由がなかっとしても,保証債務整理の申し出から弁済計画成立までの間に免責不許可事由に該当する事由が発生するおそれがある場合も,経営者保証ガイドラインによる保証債務整理を利用することができません。

手続的要件

経営者保証ガイドラインを利用した保証債務の整理は,準則型私的整理手続を利用するものとされています(経営者保証ガイドライン7項2号)。

あくまで私的整理ですから,すべての対象債権者が弁済計画案に同意するのでなければ,保証債務整理はできません。

ただし,保証債務整理の準則型私的整理手続として特定調停を選択した場合で,裁判所により弁済計画案を認める17条決定がされたときは,不同意の対象債権者からの異議が申し立てられない限り,その弁済計画案は成立します。

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