法人・会社が破産すると取締役など役員やその家族の個人資産も処分されるのか?
法人・会社が破産したからといって,取締役・理事ら役員の個人資産まで処分されるわけではありません。役員の家族の個人資産も同様です。ただし,法人債務の連帯保証人等になっていた場合には,保証債務の弁済ができなければ個人資産を処分される可能性はあります。また,財産隠しなどをしていた場合には,個人資産に対する否認権行使等がなされることもあります。
以下では,法人・会社が破産すると取締役など役員やその家族の個人資産も処分されるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
法人と個人の峻別
法人とは,法律によって権利義務の主体となることが認められた自然人ではない団体等のことをいいます。会社も法人です。
法律によって,あえて自然人とは別個独立の権利義務の主体性(法人格)を付与されていることから考えれば,いかに法人の構成員であったとしても,その構成員たる自然人と法人の財産は峻別される必要があります。
したがって,法人・会社に何らかの法的な効果が生じたとしても,その効果は個人に及ばないのが原則です。
このことは,破産手続の場合も同様です。法人・会社が破産したからといって,その法人・会社の構成員に破産の効果は及ばないのが原則です。
代表者・役員の個人資産
法人・会社の自己破産のご相談において,よくあるご質問は,法人・会社が破産すると,取締役・理事の方の個人資産も処分されてしまうのかどうかというご質問です。
前記のとおり,法人と個人とは,法律上別個の人格とされており,法人・会社が破産したからといって,その構成員である個人には法人破産の効果は及ばないのが原則です。
これは,その法人・会社の取締役・理事ら役員の場合も同様です。
したがって,法人・会社が破産しても,取締役・理事の方がその個人資産を処分されることはないのが原則です。
保証人・連帯保証人である場合
ただし,取締役・理事ら役員が,法人・会社の債務の保証人・連帯保証人・連帯債務者になっている場合は,別です。
この場合には,法人・会社が破産すると,連帯保証人等である取締役や理事が債務について支払いをしなくてはなりません。
それが支払えなければ,法人・会社の破産手続とは別個に,強制執行などによって個人資産を処分されてしまうことになります。
取締役・理事の個人資産が処分対象となる場合
連帯保証人等でない場合には,取締役・理事の個人資産が処分されることはないのが原則です。
もっとも,まったくないわけではなく,例外的に個人名義の資産・財産が処分の対象となることがあります。
それは,その個人資産が,名義上は個人名義だとしても,実質的には法人・会社の財産であるといえる場合です。
最も分かりやすい例は,法人・会社の財産を,破産申立て前に,取締役や理事に贈与または廉価で売却した形にして,名義を個人名義に変えてしまったような場合です。
このような,名義は法人・会社でないものの,実質的には法人・会社のものといえる財産は,破産管財人の否認権行使によって,破産財団への返還が求められることになります。
また,上記のような行為が意図的な財産隠しであれば,破産犯罪として刑罰に処せられるおそれもありますので,厳に慎むべきでしょう。
役員の家族の個人資産
もう1つよくあるご質問は,法人・会社が破産した場合に,取締役や理事自身だけでなく,その家族の個人資産は処分されてしまうのかというご質問です。
これも,取締役・理事ご本人の場合と同じことです。
取締役・理事の個人資産ですら,法人・会社が破産しても処分されないのが原則なのですから,ましてや法人・会社の構成員でない取締役・理事の家族・配偶者の方などの個人資産が処分されることはないのが原則です。
ただし,取締役・理事の家族・配偶者などの場合でも,法人・会社の連帯保証人等になっているのであれば,やはり個人資産を処分される可能性はあります。
また,破産申立て前に,法人会社の財産の名義を家族等に移転させていたという場合には,やはり,否認権行使によって返還を求められることがありますし,また,破産犯罪として刑罰を科されるおそれもあります。
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