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法人・会社の破産手続

破産手続開始後も債権者は自由に権利行使できるか?

債務者について破産手続が開始されると,債権者は個別の権利行使を一定範囲で制限されることがあります。破産債権者の場合,債務者について破産手続が開始されると,破産手続によらなければ権利を行使することが制限され,破産債権を請求するための訴え提起や強制執行等ができなくなります(破産法100条1項)。破産手続開始時にすでに係属している訴えのうち破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟は中断し(破産法44条1項),すでに係属している強制執行や民事保全の手続は,破産財団に対して効力を失います(破産法42条2項)。ただし,破産債権であっても,破産手続開始時点ですでに係属している国税滞納処分は,破産手続開始によっても中断されず,徴収権限者による還付金・過誤納金の充当は,破産手続によらずにすることができるものとされています(破産法100条2項)。財団債権者の場合には,破産手続によらずに随時弁済を受けることが可能ですが,債務者について破産手続が開始されると,財団債権請求の訴えを提起することや強制執行等は制限され,すでに係属している強制執行や民事保全の手続は,破産財団に対して効力を失います。ただし,破産手続開始時にすでに係属している国税滞納処分は,破産手続開始によっても効力を失いません(破産法43条2項,100条2項1号)。なお,破産債権者や財団債権者であっても,取戻権や別除権を有している場合には,その取戻権や別除権については破産手続外で行使することができます。

以下では,破産手続開始後も債権者は自由に権利行使できるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

債権者による個別の権利行使

破産手続は,債務者を負債から解放して経済的更生を図るという意味を持っていますが,第一の目的は,清算される破産者の財産を,債権者に対して公平・平等に分配するということにあります。

その債権者に対する公平・平等な分配を実現するため,破産手続が開始されると,一定の債権者については,個別の権利行使が制限されます。

債権者による個別の権利行使とは,債権を確保するために,訴訟を提起したり,債務名義に基づいて強制執行などの手続を行ったりすることです。

これらが制限されることにより,破産法の定めるルールに従って破産者の財産が換価処分されて弁済または配当がなされ,早い者勝ちになったり,力関係の強い者が優先され過ぎたりしないように,公平・平等な解決を図ることができるのです。

ただし,個別の権利行使が制限される債権者は,破産債権を有する破産債権者です。財団債権を有する財団債権者は,破産手続外で弁済を受けることが可能です。

また,取戻権者や別除権者も,破産手続外で,その取戻権別除権を行使することが可能とされています。

>> 破産手続において債権者はどのような立場にあるのか?

破産債権者の場合

破産債権とは,破産者に対し破産手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権であって,財団債権に該当しないもののことをいいます(破産法2条5号)。

そして,破産債権を有する債権者のことを「破産債権者」といいます(同条6号)。

例えば,法人・会社の借金,取引先からの買掛金や仕入代金など,多くの債権がこの破産債権に該当することになります。

債務者である法人・会社について破産手続が開始されると,破産債権は,原則として,破産手続によらなければ権利行使をすることができなくなります(破産法100条1項)。

つまり,破産債権者は,債務者である法人・会社について破産手続が開始されると,個別の権利行使が制限され,破産手続における配当によってしか債権の回収が図れなくなるということです。

具体的には,まず,破産債権については,破産手続開始後に履行を求めたり,履行を求めるために訴えを提起することができなくなります。

破産手続開始の時点ですでに係属している破産債権の請求訴訟のうち,破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟は,破産手続開始によって中断されます(破産法44条1項)。

また,破産手続開始前に債務名義を得ていたとしても,破産手続開始後には,破産債権について強制執行や民事保全の手続をとることができなくなります(破産法42条1項)。

破産手続開始の時点ですでに係属している破産債権の強制執行や民事保全の手続は,破産財団に対して効力を失います(破産法42条2項)。

ただし,破産債権であっても,破産手続開始時点ですでに係属している国税滞納処分は,破産手続開始によっても中断されず,徴収権限者による還付金・過誤納金の充当は,破産手続によらずにすることができるものとされています(破産法100条2項)。

>> 破産債権・破産債権者とは?

財団債権者の場合

財団債権とは,破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権のことをいいます(破産法2条7項)。

この財団債権を有する債権者のことを「財団債権者」といいます(同条8号)。

財団債権については,破産債権と異なり,破産手続における配当によって支払いを受けるのではなく,破産手続によらずに随時弁済を受けることができます。

したがって,債務者である法人・会社について破産手続が開始された場合でも,財団債権者は,財団債権の支払いを請求する訴えを提起することが可能です。

ただし,破産手続開始時点ですでに係属している財団債権請求訴訟のうち,破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟は,破産手続開始によって中断し(破産法44条1項),破産管財人が当該訴訟を受継することができます(同条2項)。

また,債務者である法人・会社について破産手続が開始されると,財団債権に関する強制執行や民事保全手続を申し立てることはできなくなり(破産法42条1項),破産手続開始時点ですでに係属している財団債権の強制執行や民事保全は,破産財団に対して効力を失います(同条2項)。

もっとも,破産手続開始時にすでに係属している国税滞納処分は,破産手続開始によっても効力を失いません(破産法43条2項,100条2項1号)。

>> 財団債権・財団債権者とは?

別除権者の場合

別除権とは,破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき,特別の先取特権,質権又は抵当権を有する者が,これらの権利の目的である財産について,破産手続によらないで行使することができる権利のことをいいます(破産法2条9項,65条1項)。

この別除権を有する担保権者のことを「別除権者」といいます(破産法2条10項)。

別除権の被担保債権が破産債権であっても,別除権の範囲内である限り,別除権者は,破産手続によらずに権利を行使できます。

したがって,債務者である法人・会社について破産手続が開始されていたとしても,別除権を行使して優先弁済を図ることができますし,破産手続開始時点ですでに係属している別除権に基づく民事執行手続等も中断されません。

>> 別除権とは?

取戻権者の場合

取戻権とは,真の権利者等が,破産者に属しない財産を破産財団から取り戻す権利のことをいいます(破産法62条1項)。

この取戻権を有する真の権利者等のことを「取戻権者」と呼ぶことがあります。

取戻権の被担保債権が破産債権であっても,取戻権の範囲内である限り,取戻権者は,破産手続によらずに権利を行使できます。

したがって,債務者である法人・会社について破産手続が開始されていたとしても,取戻権を行使して目的物の返還を求めることができますし,破産手続開始時点ですでに係属している取戻権に基づく民事執行手続等も中断されません。

>> 取戻権とは?

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