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法人・会社の破産手続

法人破産前に親・家族・親族にだけ返済してもよいか?

会社・法人を破産させる前に,両親・家族・親族等にだけ返済をしてしまうことは,偏頗弁済となり,破産管財人による否認権行使の対象となります。さらに,場合によっては,特定債権者に対する債務消滅行為として破産犯罪として刑罰を科されることさえあり得ます。両親・家族・親族等にだけ支払いをしてしまうことは厳に慎むべきでしょう。

以下では,法人・会社が破産する前に親・家族・親族にだけ返済をしておいても大丈夫なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

両親・家族・親族からの借入れに対する返済

会社・法人の経営が行き詰ってきた場合,何とか経営を立て直そうと,代表者や役員の方が個人資産から,または,個人で借入れをして法人に金銭を回すということがあります。

それだけでなく,さらに,代表者や役員のご両親・ご家族またはご親族から借入れをしているということも少なからずあります。

そのため,会社など法人を破産させる前に,代表者や役員の方から,借入れをしているご両親・ご家族またはご親族にだけ,先に返済をしてしまって大丈夫かというご相談をおうかがいすることがあります。

結論からいえば,破産法上,他の債権者には支払いをしないにもかかわらず,ご両親・ご家族またはご親族等にだけ返済をしてしまうということは許されていません。したがって,やめておいた方がよいでしょう。

相手が代表者や役員のご両親・ご家族・ご親族であろうとなかろうと,一部の債権者にだけ返済する行為は,破産手続において最も禁止されるべき行為の1つとされており,破産管財人による否認権行使の対象となるばかりか,破産犯罪として処罰の対象となることさえあるからです。

実際,裁判所においても最も注意すべき点とされており,破産管財人に対して,代表者や役員の両親・家族・親族などに対してだけ支払いをしてしまう行為がないかをまず確認するように求めているくらいです。

また,代表者や役員の両親・家族・親族等への金銭・財産の移動は,財産隠しの典型的な方法であるため,仮に財産隠しではなく返済であったとしても,かなり厳しく審査されるのが通常です。

否認権の行使の対象となる可能性

破産手続開始の前に,他の債権者には支払いをしないで,代表者や役員のご両親・ご家族・ご親族等からの借入れに対してだけ返済してしまうことは,いわゆる「偏頗弁済」と呼ばれる行為に該当します。

そのため,ご両親・ご家族・ご親族の方に対して偏頗弁済をした場合には,破産管財人による否認権行使の対象となることがあります。具体的にいえば,偏頗行為否認という類型の否認権行使の対象となるというこです。

まず,会社など法人が支払不能に陥った後または破産手続開始の申立てをした後のご両親・ご家族・ご親族等への返済は,破産法162条1項1号によって否認されることになります。

また,その偏頗弁済が,支払義務がなく,または支払期限が到来していないにもかかわらずなされたものである場合には,破産法162条1項2号によって,支払不能・破産手続開始申立て後のものに限らず,支払不能前30日以内のものも否認権行使の対象となります。

偏頗行為否認が行使されると,破産管財人は,ご両親・ご家族・ご親族に対する返済行為等の効力を否定して,そのご両親・ご家族・ご親族の方に対して,受領した返済金を破産財団に返還するよう請求します。

その結果,ご両親・ご家族・ご親族の方は,破産管財人と訴訟等によって争わなければならなくなり,否認権行使が認められれば,いったんは取得した金銭を破産管財人に返還しなければならなくなります。

返済をして義理を果たしたにもかからず,かえって,ご両親・ご家族・ご親族の方に迷惑をかけてしまうことになりかねないのです。

>> 偏頗行為否認とは?

破産犯罪として処罰される可能性

前記のとおり,会社・法人破産の前に,代表者や役員のご両親・ご家族・ご親族だけ返済をすることは,破産管財人による否認権行使の対象となりますが,それだけでは済まない場合があります。

すなわち,他の債権者に対しては支払いをせずに親しい取引先にだけ支払いをしてしまう行為は,特定の債権者に対する担保供与等の罪として,破産犯罪が成立し,刑罰に問われる可能性があるのです。

特定の債権者に対する担保供与等の罪とは,債権者を害する目的で,債務者が,特定の債権者に対する債務について債務者の義務に属せず又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しない担保を供与しまたは債務を消滅させる行為を処罰する犯罪類型です(破産法266条)。

ご両親・ご家族・ご親族にだけ返済をする行為が,他の債権者を害する目的があり,しかも,支払義務がなく,または支払期限が到来していないにもかかわらずなされたものである場合には,この特定の債権者に対する担保供与等の罪に該当することになります。

特定の債権者に対する担保供与等の罪に該当する場合,その行為者は,破産手続開始決定が確定すると,当該債務者は,1月以上5年以下の懲役または500万円以下の罰金に処せられ,場合によっては,この両方を併科されることもあります。

破産犯罪も言うまでもなく犯罪の1つです。このような犯罪によって刑罰を科されてしまえば,せっかく破産手続をとって人生をやり直すスタートを切ろうというのに,経済的更生がより困難となるおそれがあります。

その点からしても,たとえご両親・ご家族・ご親族であっても,そこにだけ返済をしてしまうということは,やめておくべきなのです。

>> 特定の債権者に対する担保供与等の罪とは?

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