破産手続における債権調査手続とは?
破産手続における債権調査手続とは,裁判所に届け出られた債権について,破産債権としての適格性・債権の存否・債権額・優先劣後の順位・別除権者の届け出た予定不足額の当否を調査する手続のことをいいます。債権調査には,債権届出期間内に届出された債権を調査する一般調査と,債権届出期間の経過後一般調査期間の満了前または一般調査期日の終了前にその届出がありまたは届出事項の変更があった債権を調査する特別調査とがあります。
以下では,破産手続における債権調査手続とはどのような手続なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
破産債権・破産債権者とは?
破産手続は,破産財団に属する財産を換価処分して,それを破産債権者に公平・平等に配当する手続です。
この公平・平等な配当を実現するためには,その前提として,どのような破産債権があるのか,その破産債権の金額はいくらなのかを正確に調査しておく必要があります。
そこで,破産手続においては,「債権調査手続」が設けられています。
すなわち,破産手続における債権調査手続とは,裁判所に届け出られた債権について,破産債権としての適格性・債権の存否・債権額・優先劣後の順位・別除権者の届け出た予定不足額の当否を調査する手続のことをいいます。
債権調査手続の方式
破産手続における債権調査には,一般調査と特別調査があります。
一般調査とは,通常の債権調査手続を意味します。つまり,債権届出期間内に届出がされた債権について調査する場合の債権調査手続のことです。
これに対して,特別調査とは,債権届出期間の経過後一般調査期間の満了前または一般調査期日の終了前にその届出がありまたは届出事項の変更があった破産債権について調査するための債権調査手続のことをいいます。
債権調査手続の方式は,原則として,裁判所が債権調査期間を設定し,破産管財人が作成した認否書・破産債権者および破産者の書面による異議に基づいて行われます(調査期間方式・書面方式。破産法116条1項)。
もっとも,裁判所において必要があると認める場合には,例外的に,裁判所が債権調査期間ではなく債権調査期日を指定し,その期日において,破産管財人の認否・破産債権者および破産者の異議に基づいて行われることもあります(調査期日方式・口頭方式。破産法116条2項)。
なお,特別調査については,調査期間・書面方式が原則とはされておらず,特別な必要性がなくても調査期日・口頭方式をとることもできるとされています(破産法116条3項)。
債権調査手続の流れ
破産手続が開始されると同時に,裁判所によって債権の一般調査期間が指定されます。
そして,裁判所または破産管財人は,申立人が提出した債権者一覧表に記載されている各債権者に対して,破産手続開始の通知および破産債権届出書の提出を求める書類を発送します。
債権者一覧表に記載されていない債権者が後に発覚した場合も同様に,破産管財人は,新たに発覚した債権者に対して,破産手続開始の通知および破産債権届出書の提出を求める書類を発送します。
各債権者は,一般調査期間内に,裁判所または破産管財人に対して,破産債権に関する証拠資料を添付して破産債権届出書を提出します。
破産管財人は,債権者から提出された破産債権届出書および証拠資料,または申立人や破産法人・会社側から提出された資料をもとに,その届出債権の存否・内容・金額等を調査し,債権の認否を行います。
調査の結果,破産債権届出書の内容に間違いがない場合,破産管財人は,一般調査期間内または一般調査期日において,当該届出債権を認めることになります。
他方,破産債権届出書の内容に誤りがあると判断した場合には,破産管財人は,一般調査期間内または一般調査期日において,当該届出債権を認めないことになります。
債権認否においては,破産管財人だけでなく,他の届出破産債権者も異議を述べることができます(なお,破産者は,破産債権の額についてのみ異議を述べることができます。)。
破産管財人が認めず,または他の届出破産債権者から異議を述べられた届出債権については,債権確定手続において確定されます。
破産管財人が認め,他の破産債権者から異議が述べられなかった破産債権および債権確定手続において確定した破産債権は,破産債権者全員に対して確定判決と同一の効力を有するものとされています。
財団債権の調査
破産手続における債権調査手続は,あくまで破産債権を調査するための手続ですので,財団債権を調査するための手続ではありません。
また,破産債権に属する場合であっても,租税等の請求権や罰金等の請求権については,債権調査手続の対象にはならないとされています(破産法134条1項)。
もっとも,破産手続においては,破産債権に配当する前提として財産債権の弁済を行わなければなりません。したがって,実際には,財団債権も調査する必要があります。
債権調査手続の過程においては,破産債権としての適格性も調査しますから,その調査は,財団債権の調査も兼ねることがあります。
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