法人・会社の破産申立書に添付する財産目録とは?
破産手続開始の申立書には,「債務者の財産目録」を添付する必要があります(破産規則14条3項6号)。財産目録とは,文字どおり,債務者である法人・会社の資産・財産を一覧にまとめた目録のことです。
以下では,法人・会社の破産申立書に添付する財産目録について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
破産手続開始申立書に添付する財産目録
破産規則 第14条 第3項
破産手続開始の申立書には,次に掲げる書類を添付するものとする。
⑥ 債務者の財産目録
裁判所に破産手続を開始してもらうためには,破産申立権者が管轄の裁判所に対して,破産手続開始の申立書を提出する方式によって破産手続開始の申立てをしなければなりません。
この破産手続開始の申立書には,債権者一覧表のほか,いくつかの書類を添付して提出する必要があります。
法人・会社の破産手続開始の申立書の添付書類の1つに「債務者の財産目録」があります(破産規則14条3項6号)。
財産目録とは,文字どおり,債務者である法人・会社の資産・財産を一覧にまとめた目録のことです。
破産手続を開始するには,債務者である法人・会社が支払不能または債務超過に陥っていることが必要とされますが,支払不能または債務超過に陥っているかどうかを判断するためには,その法人・会社の資産・財産の状況を把握しておく必要があります。
また,法人・会社の資産・財産がどの程度あるのかは,引継予納金の金額を決めるためにも把握しておかなければなりません。
さらに,破産手続が開始されれば,法人・会社の資産・財産を破産管財人が管理し換価処分していかなければなりませんから,手続の進行の見込みをたてるためにも,事前に資産・財産の状況を確認しておく必要があります。
そのため,破産手続開始の申立書には,債務者である法人・会社の財産目録を添付して提出することが求められているのです。
>> 法人・会社の破産手続開始の申立書に添付する書類・資料とは?
財産目録に記載すべき財産
前記のとおり,法人・会社の破産手続開始の申立書には,「債務者の財産目録」を添付する必要があります(破産規則14条3項6号)。
法人・会社が破産した場合,その法人・会社の財産はすべて換価処分の対象となります。個人の破産の場合のように,処分しなくてもよい財産(自由財産)はありません。
したがって,財産目録には,法人・会社のすべての財産を記載する必要があるのが原則です。
破産手続においては,換価価値の有無にかかわらず,法人・会社を清算するため,すべての財産を処分しなければならないので,換価価値がないと思われるものであっても,財産目録に記載しておく必要があります。
特に,決算書や帳簿類に記載のある財産は必須です。決算書等に記載されている財産については,すでに処分済みのものでも財産目録に記載し,いつ,どのように処分したかなどを記載しておいた方がよいでしょう。
とはいえ,例えば,鉛筆●本,消しゴム●個など,あまりに細かい財産まで記載する必要はないでしょう。
一般的には,以下のような財産を財産目録に記載することになります(以下のものがすべてというわけではありません。あくまで例示です。)。
- 現金
- 預貯金
- 売掛金
- 貸付金
- 出資金
- 不動産
- 在庫品・原材料
- 機械・工具類
- 什器備品
- 自動車・運搬具
- 電話加入権
- 受取手形・小切手
- 上記以外の有価証券
- 賃貸保証金・敷金
- 事業保証金・積立金
- 保険
- 知的財産権
>> 法人・会社が破産するとすべての資産・財産が処分されるのか?
財産目録の作成方法
財産目録の作成方法に決まりはありませんが,各財産の種類別に,その種類の財産全体の簿価や評価額等を記載した統括表を作成し,さらに,種類ごとに具体的な財産の内容を記載した個別の目録を作成するというのが一般的です。
個別の目録とは,例えば,預貯金目録,売掛金目録,車両目録などです。
個別の目録には,ただ財産を羅列するだけではなく,その財産の簿価,評価額,担保が設定されているか,リース物件であるか,現在の状態や保管場所なども記載することになります。
なお,公表されている法人破産手続開始の申立書に添付する財産目録の書式として,横浜地方裁判所のものがあります。財産目録を作成する上で参考になります。
>> 横浜地裁における法人破産申立書の書式(神奈川県弁護士会サイト)
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