破産申立ての管轄を判断する基準時はどの時点か?
破産事件は,破産法によって裁判管轄が定められています。破産手続開始の申立てをするに当たって,どこの裁判所に裁判管轄があるのかを判断する基準時は破産手続開始の申立て時点とされています。
以下では,破産申立ての管轄を判断する基準時はどの時点なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
破産事件の裁判管轄
裁判所に対して裁判を申し立てる場合,どこの裁判所に申立てをすればよいのかは,法律によって定められています。どこでもよいというわけではないのです。
法律で定められている裁判の管轄には,事物管轄や土地管轄などがあります。
事物管轄とは,事件の性質・内容に応じて定められる裁判管轄のことをいい,土地管轄とは,裁判所の所在地に応じて定められる裁判管轄のことをいいます。
破産事件も裁判ですから,当然,裁判管轄が定められています(破産法5条)。
破産事件の場合,事物管轄は地方裁判所とされています。したがって,破産手続開始の申立ては,最高裁判所でも,高等裁判所でも,家庭裁判所でも,簡易裁判所でもなく,地方裁判所にしなければなりません。
また,法人・会社の破産事件の土地管轄は,原則として,主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所とされています。
これら破産事件の裁判管轄は専属管轄とされています。したがって,当事者の合意等によって,管轄裁判所を破産法で定められた裁判管轄と異なる裁判所に変えることはできません(破産法6条)
破産申立ての管轄における判断の基準時
破産法 第13条
破産手続等に関しては,特別の定めがある場合を除き,民事訴訟法の規定を準用する。
民事訴訟法 第15条
裁判所の管轄は,訴えの提起の時を標準として定める。
前記のとおり,破産事件の裁判管轄は,破産法によって定められており,当事者間の合意等によってもこれを変更することはできません。
もっとも,主たる営業所の所在地などは,営業所の移転等の理由から,時期によって異なる場合もあります。
そこで,破産事件の管轄を決めるための判断を,どの時点ですべきなのかという問題が生じます。管轄の判断の基準時の問題です。
この点,民事訴訟法においては,裁判所の管轄は訴え提起の時点を判断の基準時としています(民事訴訟法15条)。
破産法は,特別の定めがある場合を除いて,この民事訴訟法の規定を重用するものとされています(破産法13条)。
そこで,破産事件の管轄の判断基準時は,破産事件における訴えの提起といえる破産手続開始の申立ての時点を基準時とするものとされています(破産法13条,民事訴訟法15条)。
例えば,支払停止時には大阪府に主たる営業所があったとしても,破産手続開始の申立て時点で主たる営業所が東京都に移転していたのであれば,破産手続開始の申立ての管轄裁判所は東京地方裁判所になる,ということです。
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