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法人・会社の破産手続

破産申立ての土地管轄における大規模事件の特例とは?

法人・会社の破産手続開始の申立ての土地管轄は,原則として,主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所とされています。もっとも,破産債権者の数が500人以上であるときは,通常の管轄裁判所だけでなく,その管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも,破産手続開始の申立てをすることができるとされています(破産法5条8項)。さらに,破産債権者が1000名以上の場合は,これらの地方裁判所だけでなく,東京地方裁判所または大阪地方裁判所にも破産手続開始の申立てをすることができるとされています(同項9条)。

以下では,破産申立ての土地管轄における大規模事件の特例について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

破産事件の土地管轄

破産法 第5条

第1項 破産事件は,債務者が,営業者であるときはその主たる営業所の所在地,営業者で外国に主たる営業所を有するものであるときは日本におけるその主たる営業所の所在地,営業者でないとき又は営業者であっても営業所を有しないときはその普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
第2項 前項の規定による管轄裁判所がないときは,破産事件は,債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
第3項 前二項の規定にかかわらず,法人が株式会社の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き,会社法(平成17年法律第86号)第897条第3項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。次項,第83条第2項第2号及び第3項並びに第161条第2項第2号イ及びロにおいて同じ。)の過半数を有する場合には,当該法人(以下この条及び第161条第2項第2号ロにおいて「親法人」という。)について破産事件,再生事件又は更生事件(以下この条において「破産事件等」という。)が係属しているときにおける当該株式会社(以下この条及び第161条第2項第2号ロにおいて「子株式会社」という。)についての破産手続開始の申立ては,親法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ,子株式会社について破産事件等が係属しているときにおける親法人についての破産手続開始の申立ては,子株式会社の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができる。
第4項 子株式会社又は親法人及び子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には,当該他の株式会社を当該親法人の子株式会社とみなして,前項の規定を適用する。
第5項 第1項及び第2項の規定にかかわらず,株式会社が最終事業年度について会社法第444条の規定により当該株式会社及び他の法人に係る連結計算書類(同条第1項に規定する連結計算書類をいう。)を作成し,かつ,当該株式会社の定時株主総会においてその内容が報告された場合には,当該株式会社について破産事件等が係属しているときにおける当該他の法人についての破産手続開始の申立ては,当該株式会社の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ,当該他の法人について破産事件等が係属しているときにおける当該株式会社についての破産手続開始の申立ては,当該他の法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができる。
第6項 第1項及び第2項の規定にかかわらず,法人について破産事件等が係属している場合における当該法人の代表者についての破産手続開始の申立ては,当該法人の破産事件等が係属している地方裁判所にもすることができ,法人の代表者について破産事件又は再生事件が係属している場合における当該法人についての破産手続開始の申立ては,当該法人の代表者の破産事件又は再生事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
第7項 第1項及び第2項の規定にかかわらず,次の各号に掲げる者のうちいずれか一人について破産事件が係属しているときは,それぞれ当該各号に掲げる他の者についての破産手続開始の申立ては,当該破産事件が係属している地方裁判所にもすることができる。
① 相互に連帯債務者の関係にある個人
② 相互に主たる債務者と保証人の関係にある個人
③ 夫婦
第8項 第1項及び第2項の規定にかかわらず,破産手続開始の決定がされたとすれば破産債権となるべき債権を有する債権者の数が500人以上であるときは,これらの規定による管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも,破産手続開始の申立てをすることができる。
第9項 第1項及び第2項の規定にかかわらず,前項に規定する債権者の数が1000人以上であるときは,東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にも,破産手続開始の申立てをすることができる。
第10項 前各項の規定により二以上の地方裁判所が管轄権を有するときは,破産事件は,先に破産手続開始の申立てがあった地方裁判所が管轄する。

法人・会社について破産手続開始を申し立てる裁判所は,どこの裁判所でもよいわけではありません。どこの裁判所に申立てをしなければならないのかは,破産法で定められています(破産法5条)。

どこの裁判所に破産手続開始申立てをしなければならないのかが法律によって定められていることを「法定管轄」といいます。法定管轄には,職分管轄・事物管轄土地管轄があります。

このうち土地管轄とは,裁判所の所在地に応じて定められる裁判管轄のことをいいます。

破産事件における土地管轄は,原則として,主たる営業所の所在地を管轄する地方裁判所とされています(破産法5条1項)。

もっとも,法人・会社が大企業等の場合,関連する取引先等も多数に上ることがあります。債権者が多数になれば,当然,その債権者対応も膨大になってきます。

そうなると,小規模の裁判所では,十分に対応しきれないことがあり得ます。そこで,破産法では,大規模な破産事件の土地管轄についての特例を設けています。

>> 法人・会社の破産手続開始の申立てにおける土地管轄とは?

破産債権者が500名以上の場合

破産法5条8項は,破産債権者の数が500人以上であるときは,通常の管轄裁判所だけでなく,その管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも,破産手続開始の申立てをすることができる旨を定めています。

例えば,福井県に主たる営業所があるA法人について破産手続開始の申立てをする場合,その土地管轄は福井地方裁判所にあるのが原則です。

もっとも,A法人の破産債権者が500名以上の場合は,福井地方裁判所の所在地を管轄する高等裁判所である名古屋高等裁判所の所在地を管轄する名古屋地方裁判所にも,土地管轄が認められます。

つまり,この場合,A法人は,福井地方裁判所と名古屋地方裁判所のどちらにも破産手続開始の申立てをすることができるということです。

破産債権者が1000名以上の場合

前記破産債権者が500名以上の場合には,通常の管轄裁判所だけでなく,その管轄裁判所の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所にも,破産手続開始の申立てをすることができるとされていますが,破産債権者が1000名以上の場合には,さらに別の特例が設けられています。

すなわち,破産債権者が1000名以上の場合には,上記の地方裁判所だけでなく,東京地方裁判所または大阪地方裁判所にも破産手続開始の申立てをすることができるとされています(破産法5条9条)。

破産債権者が1000名以上いるとなると,相当の大規模庁でなければ対応することが困難になる場合があります。

そこで,国内でも最も大規模な東京地方裁判所大阪地方裁判所にも土地管轄が認められているのです。

例えば,福井県に主たる営業所があるA法人について破産手続開始の申立てをする場合,その土地管轄は福井地方裁判所にあるのが原則です。

もっとも,破産債権者が1000名以上の場合は,破産債権者が500名以上ですので,前記のとおり,A法人は,名古屋地方裁判所にも破産手続開始の申立てをすることができます。

その上,破産債権者が1000名以上ですから,A法人は,福井地方裁判所と名古屋地方裁判所のほかに,さらに,東京地方裁判所または大阪地方裁判所にも申立てをすることが可能であるということです。

なお,上記事例のように破産手続開始の申立ての管轄が複数ある場合には,先に破産手続開始の申立てがされた裁判所が当該破産事件を管轄することになります(破産法5条10項)。

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