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破産法53条1項に基づく破産管財人による双方未履行双務契約の履行請求とは?

破産管財人は,双方未履行双務契約がある場合,その契約を解除するのか,または,破産者の債務を履行して,相手方に対して履行の請求を求めるのかを選択できます(破産法53条1項)。破産管財人が履行請求を選択する場合には,裁判所の許可が必要です(破産法78条2項9号)。ただし,履行請求の価額が100万円以下の場合には,許可を要しないとされています(破産法78条3項1号,破産規則25条)。破産管財人が履行請求をした場合,相手方の履行請求権は財団債権となり(破産法148条1項7号),相手方は破産手続外で破産財団から優先的に弁済を受けることができます。他方,破産管財人が相手方から履行を受けた場合,それによって得た財産は破産財団に組み入れられます。

以下では,破産法53条1項に基づく破産管財人による双方未履行双務契約の履行請求について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

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破産手続における双方未履行双務契約の処理

破産法 第53条

第1項 双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは,破産管財人は,契約の解除をし,又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる。
第2項 前項の場合には,相手方は,破産管財人に対し,相当の期間を定め,その期間内に契約の解除をするか,又は債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することができる。この場合において,破産管財人がその期間内に確答をしないときは,契約の解除をしたものとみなす。
第3項 前項の規定は,相手方又は破産管財人が民法第631条前段の規定により解約の申入れをすることができる場合又は同法第642条第1項前段の規定により契約の解除をすることができる場合について準用する。

破産手続開始時において,破産者も破産者の契約の相手方も,ともに契約に基づく債務を履行していない双務契約のことを「双方未履行双務契約」と呼んでいます。

双方未履行双務契約も,当事者の一方について破産手続が開始されたからといって当然に終了するものではないのが通常です。そのため,破産管財人は,契約関係を清算しなければなりません。

具体的には,この双方未履行双務契約がある場合,破産管財人は,その契約を解除するのか,または,破産者の債務を履行して,相手方に対して履行の請求を求めるのかを選択することができるものとされています(破産法53条1項)。

契約解除と履行請求のいずれを選択するのかは,破産管財人の裁量に任されています。

すでに破産手続が開始している以上,破産法人・破産会社の債務を履行してまで契約を続けるメリットは無いのが通常でしょうから,契約の解除を選択する場合の方が多いでしょう。

しかし,破産法人・破産会社の債務を履行しても,なお,相手方に履行を請求した方が破産財団の増殖につながるという場合には,履行請求を選択することもあります。

>> 破産手続において双方未履行双務契約はどのように処理されるのか?

破産法53条1項に基づく破産管財人による履行請求

前記のとおり,破産管財人は,破産法53条1項に基づき,破産法人・破産会社の債務を履行して,相手方に対し債務の履行を請求することができます。

破産管財人が,破産法53条1項に基づいて,双務契約の相手方に対して履行請求を行う場合には,裁判所の許可を得る必要があります(破産法78条2項9号)。

ただし,相手方に対して求める履行の請求額が100万円以下の場合には,裁判所の許可を要しないとされています(破産法78条3項1号,破産規則25条)。

破産管財人が履行請求する場合の法律関係

破産管財人が履行請求を選択した場合でも,ただ相手方に対して双務契約に基づく債務の履行を求めることができるわけではありません。

破産管財人の方も,破産法人・破産会社の債務を履行しなければなりません。破産管財人が履行請求を選択した場合の相手方の破産管財人に対する履行請求権は,財団債権となります(破産法148条1項7号)。

つまり,相手方は,配当を待つまでもなく,破産手続外で,破産財団から優先的に履行を受けることができるということです。

他方,破産管財人が相手方から履行を受けた場合,それによって得た財産は破産財団に組み入れられることになります。

したがって,破産管財人は,破産法人・破産会社側の債務の履行による破産財団の減少も計算に入れた上で,履行請求をするかどうかを決める必要があります。

相手方からの契約解除の可否

破産管財人が双方未履行双務契約の履行請求を選択した場合であっても,破産手続開始前にすでに破産者において債務不履行が生じていたときは,相手方は,債務不履行に基づいて契約を解除できます。

とはいえ,破産管財人が,契約解除ではなく,あえて双方未履行双務契約の履行請求を選択したにもかかわらず,契約の相手方からの契約解除を常に認めると,破産管財人に解除か履行かの選択権を与えた意味を失わせてしまうおそれがあります。

そのため,破産管財人の履行請求の選択権を無意味にする場合には,例外的に,相手方による契約解除が制限されることがあると解されています。

例えば,契約において破産手続開始等があった場合には契約を解除できるとする倒産解除特約については,この特約の効力を認めると,破産管財人の選択権を無意味にしてしまうので,破産手続開始後における相手方の倒産解除特約に基づく解除は効力を生じないと解されています。

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