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法人・会社の破産手続

法人・会社が破産すると契約関係はどうなるのか?

法人について破産手続が開始されたとしても,当然にその法人の契約関係が終了するわけではないのが原則です。契約関係を維持するか解除するかは,事案によって異なります。ただし,破産手続が終了するまでには契約関係も清算する必要があります。

以下では,法人・会社が破産すると契約関係はどうなるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

法人が破産した場合の契約関係

会社など法人は,その事業運営のために,さまざまな契約を締結しているのが通常です。

取引先との契約はもちろん,従業員との雇用契約,事業所の賃貸借契約,電気・ガス・水道・電話・インターネットなどを利用するための契約,リース契約など非常に多くの契約関係が生じています。

破産手続によって法人は消滅します。したがって,破産手続においては,これらの契約関係についても清算しておかなければなりません。

もっとも,法人について破産手続が開始されたからといって,その法人の契約関係がすべて当然に終了するわけでありません。

最終的には清算されるべきであるとはいえ,破産手続が開始されても,契約は存続するのが原則です。

これらの契約関係は,破産手続において,契約に基づく債務を履行または債権を行使することによって契約の目的を達成して,その契約を終了させるか,あるいは,契約を解除して終了させるという処理をすることになります。

もちろん,どのような処理を行うべきかは,債権債務の履行の状況や契約類型などによって異なります。したがって,事案によってその処理の仕方は当然違ってくるのです。

>> 契約とは?

契約関係が当然に終了する場合

前記のとおり,会社など法人について破産手続が開始されたからといって,その法人の契約関係が当然に終了するわけではないのが原則です。

もっとも,契約類型によっては,例外的に,当事者の一方が破産手続を開始したことによって,当然に契約関係が終了するものもあります。

例えば,委任契約は,当事者の一方(委任者・受任者のいずれも)が破産手続開始決定を受けた場合には,契約が当然に終了するとされています(民法653条2号)。

また,交互計算についても,当事者の一方について破産手続が開始された場合には終了するとされています(破産法59条1項)。

なお,当然に契約が終了するとまではいかないものの,当事者の一方が破産手続開始決定を受けた場合には,他方当事者に契約解除権が発生する契約類型もあります。

破産手続における契約関係の処理

前記の当事者の一方の破産手続開始によって当然に契約関係が終了するもの以外の契約については,破産手続においてその契約関係を処理する必要があります。

片務契約の場合

片務契約とは,当事者の一方のみが債務を負うという契約です。例えば,贈与,消費貸借契約などがこれに当たります。

片務契約における債務者が破産手続を開始した場合には,債権者の債権は破産債権となります。

債権者が破産手続を開始した場合には,債務者に対する債権は破産財団に属する財産として扱われ,破産管財人がその債権を回収することになります。

双務契約の場合

双務契約とは,当事者が相互に対価としての意義を有する債務を負担する契約のことをいいます。

破産する法人側が債務の履行をすでに完了しており,相手方も債務の履行を完了している場合には,すでに契約は目的を達しているので,後に破産管財人による否認権行使等がなされない限り問題は生じません。

破産する法人側が債務の履行をすでに完了しているものの,相手方の債務の履行は未了であるという場合には,破産者の相手方に対する債権は破産財団に属する財産となり,破産管財人が相手方から債権を回収することになります。

破産する法人側の債務は未了であるものの,相手方はすでに債務の履行を完了している場合は,相手方の破産法人に対する債権は破産債権として扱われることになります。

問題となるのは,破産者も相手方も,双方ともにまだ債務の履行が未了であるという場合です。いわゆる「双方未履行双務契約」と呼ばれる問題です。

この双方未履行双務契約については,破産管財人が,契約を解除するか,または破産者の債務を履行して相手方に対して債務の履行を請求するかを選択することができるとされています(破産法53条1項)。

>> 法人が破産すると双務契約はどのように処理されるのか?

個々の契約類型ごとの処理

基本的な契約関係の処理は前記のとおりですが,実際には,個々の契約類型ごとに異なってきます。以下では,会社など法人破産において問題となる主要な契約類型ごとの処理の概要を挙げています。

継続的給付を目的とする双務契約

ガス・電気・水道の供給契約など継続的給付を目的とする双務契約は,破産手続開始時において,当事者双方の将来の債務は未履行となるので,双方未履行双務契約として破産法53条1項の適用があります。

もっとも,破産管財人の管財業務を遂行するために,電気等の継続的給付を目的とする双務契約を破産手続開始後も維持しなければならないがことあります。

そこで,破産管財人が,履行の請求を選択した場合,破産者である法人・会社の相手方(継続的給付義務者)は,破産手続開始の申立て前の給付に係る破産債権について弁済がないことを理由として破産手続開始後の義務の履行を拒絶できないとされています(破産法55条1項)。

ただし,上記破産法55条1項および2項の規定は,労働契約には適用されません(同条3項)。また,賃貸借契約にも破産法55条1項・2項は適用されないと解されています。

>> 継続的給付を目的とする双務契約はどのように処理されるのか?

賃貸借契約

賃貸借契約は双務契約ですので,前記破産法53条1項の適用があります。もっとも,賃貸人が破産した場合か賃借人が破産した場合かによって具体的な対応は異なってきます。

>> 法人破産する場合に賃貸借契約はどのように処理されるのか?

賃貸人法人が破産した場合

賃貸人法人が破産した場合,賃借人が第三者対抗要件を備えているときは,破産管財人は賃貸借契約を解除できないとされ(破産法56条1項),賃借人の破産者に対する債権は財団債権として扱われます(同2項)。

この場合,破産管財人は,賃料を回収して破産財団に組み入れるとともに,その賃貸物件を収益物件として任意売却するのが通常です。

なお,相手方賃借人が対抗要件を備えていない場合には,破産管財人は双方未履行双務契約として契約解除を選択することもできます。

ただし,立退料や明渡し手続等の問題が生じ,破産財団に損失が生じたり,破産手続がむやみに長期化してしまうおそれがある場合には,解除ではなく履行を選択し,賃料回収及び任意売却で進めていくこともあります。

>> 賃貸人法人が破産した場合の賃貸借契約の処理

賃借人法人が破産した場合

他方賃借人法人が破産した場合,破産管財人は,双方未履行双務契約として契約の解除または履行を選択できます。

ただし,履行を選択するのは,その賃借権に価値があり換価可能であるという場合です。通常の場合は,賃料の発生を抑えるために解除を選択して,早期に賃借物件等を明け渡すことになるでしょう。

実務上は,破産手続開始の申立て前に事業所の明渡しまで行っておくということが少なくありません。

未払いの賃料は,破産手続開始までのものであれば破産債権ですが,破産手続開始後のものは財団債権となります。敷金返還請求権は,破産財団に属する財産として扱われます。

>> 賃借人法人が破産した場合の賃貸借契約の処理

委任契約

無償委任契約は片務契約,有償委任契約は双務契約ですが,いずれの場合であっても,委任契約は,委任者または受任者のどちらか一方でも破産手続を開始すれば,契約解除を待たずに当然に終了します。

したがって,受任者である法人・会社が破産した場合,委任契約は終了して委任事務処理も終了することになります。

委任者である法人・会社が破産した場合,受任者の委任事務処理は終了し,破産手続開始までに発生していた報酬請求権は破産債権となります。

ただし,受任者が,委任者の破産手続開始の通知を受けず,かつ,破産手続開始の事実を知らずに委任事務処理をした場合には,破産手続開始後の委任事務処理に基づく報酬の請求権も破産債権となります(破産法57条)。

なお,委任契約に,当事者について破産手続が開始されても委任契約は終了しない旨の特約がある場合には,例外的に,当事者の破産手続開始によっても委任契約は終了しません。

この場合には,無償委任契約であれば通常の片務契約と同様に,有償委任契約であれば双方未履行双務契約として処理されることになります。

>> 法人破産する場合に委任契約はどのように処理されるのか?

請負契約

請負契約も破産手続においては大きな問題となることがあります。特に,仕掛中の請負工事をどのように処理すべきかについては,さまざまな問題点が生じてきます。

>> 法人が破産すると請負契約はどのように処理されるのか?

請負人法人が破産した場合

請負人である法人・会社が破産した場合,当該請負契約の目的である仕事が破産者以外の者において完成することのできない性質のものであるため,破産管財人において破産者の債務の履行を選択する余地のないときでない限り,破産法53条が適用されます。

破産法53条の適用がある場合,破産管財人は,請負契約を解除するか,または,請負人の仕事を完成させて相手方である注文者に請負報酬の支払いを請求することになります。

破産法53条の適用がない場合または破産管財人が履行請求を選択した場合には,破産管財人は,元従業員を履行補助者にするなどして,請負仕事を完成させる必要があります。

なお,相手方である注文者は,請負人が被る損害の賠償をすれば,仕事が完成するまでの間,いつでも契約を解除することができますが,注文者が損害賠償を支払ってまでして,あえて契約を解除するという例はあまりないでしょう。

>> 請負人法人が破産すると請負契約はどのように処理されるのか?

注文者法人が破産した場合

注文者である法人・会社が破産した場合,破産管財人または相手方である請負人は,民法641条1項に基づいて契約を解除することができます。

契約が解除された場合,解除までにすでに請負人がしていた仕事の結果は,破産財団に組み入れられ,請負人はその分の出来高報酬を破産債権者として求めることができます。

破産管財人が契約を解除した場合に限っては,請負人は,破産管財人の契約解除によって生じた損害の賠償を破産債権者として求めることができます。

破産管財人も請負人も契約を解除しなかった場合には,破産管財人は請負人に対して仕事の完成を求め,仕事が完成した場合には,その仕事の結果や完成物は破産財団に組み入れられ,請負人に対して請負報酬を支払うことになります。

>> 注文者法人が破産すると請負契約はどのように処理されるのか?

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