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破産管財人による否認権はどのように行使されるのか?

破産管財人による否認権は,否認の訴え,破産管財人を被告とする訴訟における抗弁または否認の請求手続によって行使されます。ただし,実務上は,裁判外交渉において,相手方と和解契約を締結する方法で,実質的に否認権行使と同様の効果を得るという方法がとられることもあります。

以下では,否認権はどのように行使されるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

破産管財人による否認権の行使

破産手続では,破産者である会社・法人が有している財産を破産管財人が管理・回収して破産財団を形成し,それらを換価処分して,各債権者に弁済または配当していくことになります。

もっとも,破産手続開始の時点においては破産会社・法人の名義ではない,または流出してしまっている財産であっても,本来であれば破産財団に組み入れられるべきであった財産が存在するという場合があります。

このような財産を放置しておいてしまっては,債権者に不利益を与えることになりますし,場合によっては債権者の平等に反することもあるでしょう。したがって,流出した財産を回収する必要性が生じてきます。

そこで,破産法では,破産管財人に「否認権」という権能が与えられています。

否認権とは,破産手続開始前になされた破産者の行為またはこれと同視できる第三者の行為の効力を否定して破産財団の回復を図る形成権たる破産管財人の権能のことをいいます。

破産管財人は,この否認権を行使して,流出してしまった財産を破産財団に取り戻すことになります。

>> 破産管財人の否認権とは?

否認権行使の主体・相手方

前記のとおり,否認権を行使できる主体は,破産管財人だけです(破産法173条1項)。

否認権行使の対象は,破産者(またはこれと同視できる第三者)の行為ですが,実際に否認権行使をする相手方は,破産者による詐害行為偏頗行為の相手方になります。

たとえば,破産会社が取引先に財産を贈与してしまったという場合であれば,否認権行使の相手方は,破産者ではなく,その取引先になるということです。

否認権行使の期間

破産法 第176条

否認権は,破産手続開始の日から二年を経過したときは,行使することができない。否認しようとする行為の日から二十年を経過したときも,同様とする。

破産管財人が否認権を行使できる期間は限定されています。破産法176条のとおり,破産管財人による否認権行使は,破産手続開始の日から2年以内とされています。

また,破産手続開始日から2年以内であっても,否認権の対象とされている詐害行為や偏頗行為等をした日から20年が経過してしまっている場合にも,やはり否認権行使はできなくなります。

これらの各期間は消滅時効期間ではなく,除斥期間と解されています。したがって,時効援用は必要なく,また時効の中断もありません。定められた期間が経過すると,否認権行使はできなくなります。

否認権行使の手続

破産法 第173条

第1項 否認権は,訴え,否認の請求又は抗弁によって,破産管財人が行使する。
第2項 前項の訴え及び否認の請求事件は,破産裁判所が管轄する。

上記破産法173条1項で定めるとおり,否認権は,破産管財人によって行使され,行使の方法は「訴え」「否認の請求」または「抗弁」によるものとされています。

否認の訴え

否認の訴えとは,破産管財人が原告となって訴訟を提起するということです。ただし,否認訴訟というような特別な訴訟類型があるわけではなく,否認権行使について通常の訴訟を提起することになります。

否認訴訟は,破産裁判所(当該事件の破産手続を行っている裁判所)の専属管轄です(破産法173条2項)。

したがって,東京地方裁判所で破産手続が行われていれば,その破産手続の否認訴訟は,東京地方裁判所の管轄となるということです。

なお,否認訴訟において,相手方からの抗弁に対し,破産管財人が否認権を再抗弁として主張した場合も,この「訴え」に含まれると解されています。

否認の請求

否認の請求とは,訴訟によらずに,破産裁判所の決定手続において否認権行使の効果を確定させることができる破産法で定められている特別な手続のことです。

否認請求の管轄も,破産裁判所の専属管轄です(破産法173条2項)。

否認請求では,事実の証明までする必要がなく疎明で足りるなど,訴訟よりもはるかに簡易迅速な審理で,否認権行使の可否や内容を定めることができます。

ただし,否認権行使を認める決定がなされた場合,その決定に不服があれば,否認請求の相手方は,決定書送達を受けた日から1か月以内に異議の訴えを提起することができます(破産法175条1項)。

抗弁

抗弁による否認権行使とは,破産管財人を被告とする訴訟において,破産管財人が相手方原告の主張に対して,抗弁として否認権行使を主張する場合のこと意味しています。

破産管財人が否認の訴えを提起したり,否認請求を申し立てたわけではありませんが,抗弁として否認権行使を主張した場合でも,否認権行使としての効果を生じるということを明らかにした規定です。

裁判外での任意交渉による否認権行使の可否

前記のとおり,破産法173条1項は,否認権は,否認の訴え・否認請求・抗弁として行使されると規定されていますから,それ以外の方法,特に,裁判外での任意交渉によって否認権を行使することはできないのが原則です。

しかし,実際問題として,裁判外の交渉で話を付けた方が,より迅速に問題を解決できることは間違いありません。

そこで,裁判外交渉による否認権行使であっても,交渉の結果として,否認訴訟等を提起したとすれば被告となるべき相手方と和解契約を締結した場合には,実質的に否認の訴え等によって否認権行使をしたのと同様の効果を生じると解されています。

そのため,実務においては,裁判外の任意交渉によって否認権行使をして解決するということが少なくありません。むしろ,多くの場合,裁判外交渉で決着していると思われます。

否認権行使のための保全処分

破産手続開始の申立てから破産手続開始決定までの間に,否認権を保全するために必要があると認められる場合には,利害関係人の申立てによって,裁判所は職権で,財産の仮差押えや仮処分などの保全処分を命じることができるとされています(破産法171条1項)。

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