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偏頗行為否認とは?

破産管財人による否認権の類型の1つに「偏頗行為否認」があります。偏頗行為否認とは,破産者による特定の債権者にのみ利益を与える行為の効力を否定して,破産財団から流出した財産を破産財団に回復させる破産管財人の権能のことをいいます。

以下では,偏頗行為否認とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

偏頗行為否認とは?

破産管財人には「否認権」という権能が与えられています。

否認権とは,破産手続開始前になされた破産者の行為またはこれと同視できる第三者の行為の効力を否定して破産財団の回復を図る形成権たる破産管財人の権能のことをいいます。

この否認権には,2つの類型があります。「詐害行為否認」と「偏頗行為否認」の2類型です。

このうち,偏頗行為否認とは,偏頗行為否認とは,破産者による特定の債権者にのみ利益を与える行為の効力を否定して,破産財団から流出した財産を破産財団に回復させる破産管財人の権能のことをいいます。

破産手続においては,破産債権者間の平等・公平性を最大限確保しなければなりません。

それにもかかわらず,破産者が特定の債権者にのみ利益を与えるような行為をして債権者間の平等・公平を害した場合,債権者間の平等を回復させる措置をとることができないとすれば,破産法の目的を達成できず,また破産手続への信頼を失わせることにもなりかねません。

そのため,そのような債権者の平等を害する行為の効力を否定して,破産財団の回復を図ることができる偏頗行為否認という権能が破産管財人に認められているのです。

>> 破産管財人の否認権とは?

偏頗行為否認の類型

偏頗行為否認には,以下のとおり,2つの類型があります。

  • 破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした偏頗行為の否認(破産法162条1項1号)
  • 破産者が支払不能になる前30日以内にした非義務的偏頗行為の否認(同項2号)

破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした偏頗行為の否認(破産法162条1項1号)

破産法 第162条第1項第1号

次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は,破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
① 破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした行為。ただし,債権者が,その行為の当時,次のイ又はロに掲げる区分に応じ,それぞれ当該イ又はロに定める事実を知っていた場合に限る。
イ 当該行為が支払不能になった後にされたものである場合 支払不能であったこと又は支払の停止があったこと。
ロ 当該行為が破産手続開始の申立てがあった後にされたものである場合 破産手続開始の申立てがあったこと。

偏頗行為否認の類型の1つに,「破産者が支払不能になった後又は破産手続開始の申立てがあった後にした偏頗行為の否認(破産法162条1項1号)」があります。

破産法162条1項1号の趣旨

破産手続においては,支払不能に陥ったとき以降は「危機時期」とされ,それ以降は倒産の準備段階であるといえるので,債権者間の平等が特に強く求められるようになり,特定の債権者に対してのみ利益を与える行為は原則として禁止するべきであると考えられています。

支払不能であることがより顕著となる破産手続開始の申立てをした後であれば,なおさら債権者間の平等が強く求められることになります。

それにもかかわらず,支払不能や破産手続開始の申立て後に偏頗行為を行うことは,明らかに債権者の平等を害する行為といえます。

そこで,破産法162条1項は,このような支払不能または破産手続開始の申立て後の偏頗行為を否認できるものとしているのです。

債権者の悪意

ただし,偏頗行為の相手方である債権者が,支払不能後の偏頗行為であれば,債務者が支払不能または支払停止状態にあったことを知らなかった場合,破産手続開始の申立て後の偏頗行為であれば,破産手続開始が申し立てられていたことを知らなかった場合には,否認することができないものとされています。

もっとも,債権者が,以下に該当する者である場合には,その債権者は,支払不能・支払停止状態であったことや破産手続開始の申立てがあったことを知っていたものと推定されます(破産法162条2項1号,161条2項)。

  • 破産者が法人である場合のその理事・取締役・執行役・監事・監査役・清算人またはこれらに準ずる者
  • 破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者またはこれらに準ずる者
  • 破産者である株式会社の総株主の議決権の過半数を子株式会社又は親法人及び子株式会社が有する場合における当該親法人またはこれらに準ずる者

また,偏頗行為が,破産者の義務に属せずまたはその方法若しくは時期が破産者の義務に属しないもの(非義務的偏頗行為)である場合にも,やはり,その債権者は,支払不能・支払停止状態であったことや破産手続開始の申立てがあったことを知っていたものと推定されます(破産法162条2項2号)。

破産者が支払不能になる前30日以内にした非義務的偏頗行為の否認(破産法162条1項2号)

破産法 第162条第1項第2号

次に掲げる行為(既存の債務についてされた担保の供与又は債務の消滅に関する行為に限る。)は,破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
② 破産者の義務に属せず,又はその時期が破産者の義務に属しない行為であって,支払不能になる前三十日以内にされたもの。ただし,債権者がその行為の当時他の破産債権者を害する事実を知らなかったときは,この限りでない。

偏頗行為否認の類型の1つに,「破産者が支払不能になる前30日以内にした非義務的偏頗行為の否認(破産法162条1項2号)」があります。

前記第1号の場合のとおり,偏頗行為が否認権行使の対象となるのは,基本的には,支払不能に陥った後に偏頗行為をした場合です。

もっとも,偏頗行為をしてまで支払い等をしなければならない法的義務もないのに,あえて偏頗行為をするということは,その相手方である特定の債権者にだけ過大な利益を与えてしまうことになりますから,債権者平等を害する度合いが大きいといえます。

そこで,破産法162条1項2号は,上記のような法的義務のない偏頗行為(非義務的偏頗行為)については,支払不能後の場合だけでなく,否認権行使できる範囲を拡大して,支払不能となる前30日以内のものも否認権行使の対象としているのです。

ただし,この非義務的偏頗行為の相手方である債権者が,その行為当時,破産債権者を害することになるということを知らなかった場合には,否認権行使はできないとされています。

偏頗行為否認の効果

破産管財人によって,偏頗行為に対して否認権が行使されると,当該偏頗行為の効果が否定され,「破産財団を原状に復させる」ことになります(破産法167条1項)。

たとえば,破産者が,特定の債権者にだけ弁済をしてしまった場合,いわゆる「偏頗弁済」してしまった場合,この偏頗弁済行為が否認されたとすると,この偏頗弁済の法的効果は否定されます。

否定されるというのは,その偏頗弁済を受けた債権者は,破産管財人に対して,その弁済により債務がその分だけ消滅したということを対抗できなくなるという意味です。

その結果,破産管財人は,その偏頗弁済がなかったものとして扱うことができるようになります。

つまり,その偏頗弁済によって支払った金銭は破産財団に属すべき財産であるから,その金額を破産財団に支払うよう,その債権者に対して請求できることになるのです。

>> 否認権が行使されるとどのような効果を生じるのか?

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