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法人・会社の破産手続

破産財団はどのように管理されるのか?

破産財団に属する財産の管理処分権は,破産手続開始決定があった場合,破産管財人に専属することになります(破産法78条1項)。破産管財人は,破産手続開始後直ちに,破産財団の管理に着手しなければなりません(破産法79条)。破産財団に属する財産をどのように管理するかは,それぞれの財産の種類・内容に異なります。破産財団の管理を確実にするため,破産法では,裁判所書記官による帳簿の閉鎖,引渡命令,封印執行などの制度が用意されています。

以下では,破産財団はどのように管理されるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

破産財団の管理権

破産法 第78条 第1項

破産手続開始の決定があった場合には,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は,裁判所が選任した破産管財人に専属する。

破産法 第79条

破産管財人は,就職の後直ちに破産財団に属する財産の管理に着手しなければならない。

破産手続は,破産した法人・会社(破産者)の財産を破産財団として管理・回収し,それを換価処分して得た金銭を債権者に対して公平に配当または弁済するという手続です。

したがって,いかに破産財団を回収し,換価処分するまで適切に管理していくかは,非常に重要な問題です。

もっとも,破産者自身が管理すると不公平な財産処分をしてしまうおそれがあります。

また,そのおそれがある以上,破産者自身による管理を安易に許してしまっていては,破産手続に対する債権者からの納得を得ることもできないでしょう。

そこで,破産法は,破産手続開始決定により,破産財団に属する財産の管理処分権は,裁判所によって破産手続開始と同時に選任される破産管財人に専属するものとしています(破産法78条1項)。

つまり,破産手続開始後,破産者の財産は破産管財人によって管理されることになり,破産した法人・会社が自分で管理処分することはできなくなるということです。

破産管財人の破産財団管理業務は,破産手続開始と同時に破産管財人が選任されるとすぐに開始しなければならないものとされています(破産法79条)。

>> 破産財団とは?

現金の管理

現金は費消しやすいため,破産管財人は,破産手続開始後直ちに,破産法人・会社側から,その現金の引継ぎを受けます。

破産手続開始後,破産管財人は破産管財人名義の銀行預金口座を開設するのが通常です。そして,この破産管財人口座に引継ぎを受けた現金を預け入れて管理します。

>> 破産すると法人・会社の現金はどうなるのか?

預金の管理

預金・貯金も,現金と同様,費消しやすいため,破産管財人は,破産手続開始後直ちに,破産法人・会社側から,預金通帳・キャッシュカード・銀行印などの引継ぎを受けます。

そして,預金の解約・払戻しを行い,払い戻した金銭を破産管財人口座に預け入れて管理をします。

なお,破産手続開始までの間に引き落としなどがなされないように,破産手続開始前に破産法人・会社側(または代理人弁護士)の方で預金から全額を払い戻して現金にして保管しておき,それを,破産管財人に引き継ぐという方法をとる必要があります。

破産手続開始前に弁護士から受任通知を送付する場合には,その送付によって,債権者である銀行等の預金口座が凍結されてしまうことがありますので,この場合も,先に払戻しをしておく必要があります。

>> 破産すると法人・会社の預金・貯金はどうなるのか?

不動産の管理

不動産は動かすことはできませんが,第三者によって不当に占拠されるおそれがあります。また,建物内の在庫品などの動産が持ち出され,破産財団が減少してしまうおそれもあります。

そこで,そのような不動産の不法占拠や動産の持ち出しを防止するため,破産管財人は,破産手続開始後直ちに,当該不動産が破産管財人の管理下に置かれていることを明らかにする措置をとる必要があります。

具体的には,破産法人・会社側から鍵を預かって建物がしっかりと施錠されているかなどを確認し,入口に破産管財人名義で侵入を禁止する旨の張り紙(告示書)を貼っておくなどの措置をとることになります。

施錠が不十分な箇所があれば,新たに鍵を設置したり,警備会社のシステムが設置されている場合には,その警備契約を破産管財人名義で破産手続開始後も継続して,不動産を管理することもあります。

施錠や警備システムの設置のみでは管理として不十分であるような場合には,破産管財人名義で警備会社に警備員の配置を依頼し,不動産を管理することもあります。

また,現実の占有管理だけでなく,当該不動産の登記簿や帳簿類等を確認して,当該不動産の権利関係を調査して,法的な管理を行うことも必要となってきます。

>> 法人・会社が破産すると不動産はどうなるのか?

動産・自動車の管理

動産については,基本的には,破産管財人が破産法人・会社側からその動産の現物の引継ぎを受けて管理します。とはいえ,すべての動産を引き継ぐのは現実的に難しい場合もあります。

そこで,事業所や倉庫に置いてある在庫品や機材などの動産については,その事業所や倉庫の施錠等を確保した上で,そこで保管するのが通常でしょう。

動産の管理においては,その品目・種類や数を正確に把握しておく必要があります。帳簿類と実際の数量が一致しないことも多いため,実際に現場で数量を確認することもあります。

また,動産には,食料品など保管の期間が限られているものもあります。そのような動産がある場合には,数量の確認だけでなく,保管方法や保管期限も確認しておく必要があります。

そして,それらを確認した上で,当該動産の価値をできる限り低下させないような保管方法を選択して管理していかなければなりません。

自動車も、基本的には,他の動産と同様ですが,移動をさせやすいため,債権者や第三者によって持ち出されたり,事故を起こしてしまってその損害賠償責任を破産財団で負担しなければならなくなるなどのおそれがあります。

そこで,破産管財人は,破産手続開始後ただちに,破産法人・会社側から自動車の鍵を預かるとともに,換価処分するまで持ち出されないような場所に移動させておくなどして,管理をする必要があります。

さらに,動産の場合,すべて破産法人・会社の所有とは限りません。リース物件や賃借物件等もあり得ます。それらは,所有者に返却する必要があります。

返却する前にそのリース物件や賃借物件等が滅失してしまうと,破産財団や破産管財人が損害賠償等の責任を負担しなければならないおそれもあるため,他の動産と同様に適切に管理しておく必要があります。

>> 破産すると法人・会社の動産はどうなるのか?

債権の管理

破産財団に属する財産は,不動産や動産など形のあるものに限りません。売掛金などの債権も破産財団に属する財産です。破産管財人は,この債権についても管理をする必要があります。

賃貸借契約等を解約して戻ってくる敷金・保証金や,保険の解約返戻金なども,破産財団に組み入れられるべき債権です。

これらの債権を管理するとは,要するに,不必要に債権が減少しないように措置をとるということです。

そして, 不必要に債権が減少しないようにするためには,できる限り早く,破産管財人名義で債権について請求をし,その債権を回収しなければなりません。

そのためには,破産手続開始後直ちに破産法人・会社側から帳簿類を引き継いで,その帳簿類を精査し,どのような債権があるのか,その債権はどのような内容なのか,金額はいくらなのか,回収可能性はあるのかなどを確認して,不必要に債権が減少しないように管理する必要があります。

>> 法人・会社が破産すると売掛金等の債権はどうなるのか?

知的財産権の管理

法人・会社が,著作権・特許権・実用新案権・意匠権・商標権などの知的財産権を有している場合,それらの知的財産権も破産財団に属すべき財産ですから,管理が必要です。

これらの知的財産権は容易に譲渡することができない場合が多く,特別な管理を必要としませんが,やはり,早期に換価するのが望ましいことは間違いありません。

ただし,知的財産権については権利関係が複雑なことが少なくないため,権利関係の確認や調整など法的な意味での管理が重要となってきます。

>> 法人・会社が破産すると知的財産権はどうなるのか?

事業の管理

法人・会社の破産においては,その法人・会社の事業自体に価値があることもあります。その場合には,事業自体を事業譲渡により換価処分することになります。

また,仕掛中の業務があり,その業務を完了した方が破産財団の増殖につながるということもあります。

これらの場合,破産管財人は,事業譲渡や仕掛中の業務が完了するまでの間,裁判所の許可を得て,事業を継続する場合があります(破産法36条)。

事業継続をする場合には,破産管財人が事業の管理責任者ということになりますから,当該法人・会社の経営者と同様,事業継続に関わる一切の事項について管理を行わなければなりません。

>> 法人・会社が破産すると事業・営業はどうなるのか?

破産財団管理のための制度

財産の管理,特に建物の管理については,上記のとおり,破産管財人名義で告示書を張り紙して,第三者による侵入を防止する方法がとられるのが一般的ですが,著しく強硬な債権者などがいるため,それだけでは効果がないという場合もないわけではありません。

そこで,破産管財人は,告示書の張り紙等だけでは不十分であるような場合には,裁判所書記官,執行官または公証人に,破産財団に属する財産に封印をさせることができるとされています。

これを「封印執行」といいます(破産法155条1項)。

逆に,すでに封印がなされているものについて,裁判所書記官,執行官または公証人に,破産財団に属する財産に付されている封印を除去させることもできます。

また,第三者が帳簿類を閲覧して,そこから得た情報を不正に利用するおそれがある場合,裁判所書記官は,破産管財人の申し出により,破産財団に関する帳簿を閉鎖することができます(破産法155条2項)。

ただし,実務上は,破産手続開始後直ちに(または破産手続開始の申立て後開始決定前に),各種帳簿類は破産法人・会社側から破産管財人に引き継がれるのが一般的であるため,帳簿閉鎖の措置がとられることは稀でしょう。

さらに,破産者が破産財団に属する財産を破産管財人に引渡さない場合(特に債権者破産申立ての場合),裁判所は,破産管財人の申立てにより,破産者に対して破産財団に属する財産を破産管財人に引渡すよう決定で命じることができるとされています。

これを「引渡命令」といいます(破産法156条1項)。

>> 破産財団の管理を確実にするための各種制度とは?

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