法人・会社が破産すると動産はどうなるのか?
法人・会社が事業運営に当たって動産を利用する形態には,その動産を所有している場合と,リースまたは賃借している場合とがあります。いずれの場合であっても,破産手続が開始されると,その動産は,破産管財人に管理処分権が専属することになります(破産法34条1項,78条1項)。したがって,破産手続開始後は,所有であるかリース・賃借であるかを問わず,破産者である法人・会社の自身あっても,その動産を処分することはできなくなります。破産管財人は,所有動産であれば,それを換価処分し,リース・賃借動産であれば,それを真の権利者に対して返却することになります。
以下では,法人・会社が破産すると動産はどうなるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
法人・会社の動産
破産法 第34条
第1項 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は,破産財団とする。
第2項 破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権は,破産財団に属する。
<第3項以下省略>
破産法 第78条 第1項
破産手続開始の決定があった場合には,破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は,裁判所が選任した破産管財人に専属する。
法律上,「物(もの)」とは,有体物のことです(民法85条)。法律上の物には,動産と不動産があります。
不動産とは,土地およびその定着物を意味します(民法86条1項)。他方,動産とは,法律上の物のうち不動産以外のものを意味します(民法86条2項)。
法人・会社が事業を運営するに当たっても,動産を利用しないということはほとんどあり得ないでしょう。
法人・会社の設備・機械や,什器・備品・工具,自動車・車両,在庫品,もっと言えば,鉛筆1本も,動産です。
法人・会社について破産手続が開始すると,法人・会社が有していた一切の財産が破産財団に属し,破産管財人が管理処分権を有することになります(破産法34条1項,78条1項)。
この破産管財人の管理処分権には,財産の存続・帰属・内容に変更を及ぼす一切の行為をする権限が含まれると解されています。
したがって,所有している動産だけでなく,リースまたは賃借している動産も,破産管財人が管理処分権を取得することになります。
法人・会社が所有している動産
前記のとおり,法人・会社が所有している動産も,破産手続が開始されると,破産財団に組み入れられ,破産管財人にその管理処分権が専属することになります。
管理処分権が破産管財人に専属するというのは,所有者である法人・会社自身であっても,その動産を自由に管理・処分することができなくなるということです。
破産者は,破産手続開始後,所有する動産を破産管財人に引渡さなければなりません。そして,引渡しを受けた破産管財人は,その動産を管理し,売却することなどによって換価処分することになります。
動産の中には換価価値のないことが明白な物もありますが,実際に換価処分してみなければ,本当に換価価値がないのかどうかは分かりません。
そのため,換価価値の有無の見込みにかかわらず,破産者である法人・会社が所有する動産は,破産財団に属する財産として扱われます。
破産管財人は,それらの動産を,換価価値のある物は換価処分し,価値のないものは,廃棄処分などをすることになります。
動産に譲渡担保や所有権留保などの担保権が設定されている場合も同様です。
担保権が設定されているとはいえ,その動産の所有権が破産者である法人・会社に属する以上は破産財団に含まれます。
したがって,やはり,その動産の管理処分権は破産管財人に専属することなり,破産管財人によって管理・処分されることになります。
法人・会社がリース・賃借している動産
法人・会社が所持している動産のうちには,その法人・会社が所有するものばかりではありません。リース・賃借している動産もあるでしょう。
前記のとおり,これらリース・賃借している動産も,破産管財人に管理処分権が専属されます。
破産管財人は,財産管理処分権に基づき,これらのリース契約や賃貸借契約を解約して,そのリース物件や賃借物件を,真の所有者に返却するなどの措置をとらなければなりません。
他方,動産のリース権者・賃貸人など真の所有者・権利者は,取戻権を行使して,破産管財人に対し,リース物件や賃借物件の返還を求めることができます。
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