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法人・会社の破産手続

破産法人・会社の財産はどのように調査されるのか?

破産管財人は,破産手続開始の申立書及びその添付資料を精査して,申立人や債務者から事情を聴取するほか,各種の帳簿類や資料を精査,現地の調査,転送郵便物の閲覧,債権者・利害関係人・第三者等からの情報提供またはこれらに対する照会などさまざまな方法を用いて,破産財団を調査します。

以下では,破産法人・会社の財産はどのように調査されるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

法人・会社の財産調査の必要性

破産手続は,破産した法人・会社(破産者)の財産を破産財団として管理・回収し,それを換価処分して得た金銭を債権者に対して公平に配当または弁済するという手続です。

破産法人・会社の財産は債権者に対する配当・弁済の原資になるものですから,この財産をいかに確実に回収・管理し,いかに適正に換価処分するかが破産手続において最も重要なことといえます。

破産財団を回収・管理・換価処分する業務を実際に行うのは,裁判所によって選任される破産管財人です。

もっとも,確実に破産財団を回収・管理・換価処分するためには,その前提として,破産法人・会社にどのような財産があるのか,その財産はどこにあるのか,どのような状態にあるのかなどをあらかじめ調査しなければなりません。

この破産財団の調査を行うのも,やはり破産管財人です。

また,仮に財産があっても,その財産には第三者による担保が設定されていたり,あるいは,そもそも破産者の財産ではなく第三者の財産であるという場合もあるでしょう。

したがって,破産管財人は,単に財産の有無等を調査するだけでなく,その財産に関する法律関係・権利関係もあわせて調査していくことになります。

そのため,破産法上,破産管財人には破産財団の管理処分権が付与されており,また,破産財団の調査を行うためにさまざまな制度が設けられています。

>> 破産財団とは?

申立書・添付資料の精査

裁判所や破産管財人による破産財団の調査の第一歩は,破産手続開始の申立書およびその添付書類の確認・精査です。

破産手続開始を申し立てるためには,裁判所に対して,破産手続開始の申立書を提出する必要があります。

また,破産者は,破産手続開始後遅滞なく,重要な財産の内容を記載した書面(財産目録)を裁判所に提出しなければならないとされています(破産法41条)。

実務では,破産手続開始の申立ての段階から,申立書に財産目録や,決算書,主要な財産に関する疎明書類を添付しなければならないと取り決められているのが一般的でしょう。

破産管財人(またはその候補者)は,まず,申立書およびその添付書類を精査することになります。

もちろん申立書に記載できることや,それに添付できる書類の量は限られてきますから,すべての財産に関する情報を申立書等だけで把握できるわけではありませんが,調査の端緒にはなります。

>> 法人・会社の破産手続開始の申立書とは?

申立人・破産者からの事情聴取

破産法 第40条

第1項 次に掲げる者は,破産管財人若しくは第144条第2項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは,破産に関し必要な説明をしなければならない。ただし,第5号に掲げる者については,裁判所の許可がある場合に限る。
① 破産者
② 破産者の代理人
③ 破産者が法人である場合のその理事,取締役,執行役,監事,監査役及び清算人
④ 前号に掲げる者に準ずる者
⑤ 破産者の従業者(第2号に掲げる者を除く。)
第2項 前項の規定は,同項各号(第1号を除く。)に掲げる者であった者について準用する。

破産法 第83条

第1項 破産管財人は,第40条第1項各号に掲げる者及び同条第2項に規定する者に対して同条の規定による説明を求め,又は破産財団に関する帳簿,書類その他の物件を検査することができる。
第2項 破産管財人は,その職務を行うため必要があるときは,破産者の子会社等(次の各号に掲げる区分に応じ,それぞれ当該各号に定める法人をいう。次項において同じ。)に対して,その業務及び財産の状況につき説明を求め,又はその帳簿,書類その他の物件を検査することができる。
① 破産者が株式会社である場合 破産者の子会社(会社法第2条第3号に規定する子会社をいう。)
② 破産者が株式会社以外のものである場合 破産者が株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合における当該株式会社
第3項 破産者(株式会社以外のものに限る。以下この項において同じ。)の子会社等又は破産者及びその子会社等が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には,前項の規定の適用については,当該他の株式会社を当該破産者の子会社等とみなす。

前記申立て書類の精査のほか,破産管財人は,直接,申立人や債務者から事情を聴取し,破産財団を調査します。

法人・会社の自己破産の場合,申立人・債務者とは当該法人・会社ですが,観念的な存在である法人から話を聞くことはできません。

したがって,現実には,当該法人の代表者や役員または財産状況を把握している経理担当者などの従業員から事情を聴取することになります。

破産法人・会社の内情をよく知っているのは,やはり当該法人・会社の代表者や役員等ですから,破産財団の調査においても,代表者や役員等からの事情聴取は重要な意味を持っています。

そのため,破産法では,破産管財人は破産法人の理事や取締役に対して破産に関して説明を求めることができます(破産法83条1項)。その理事や取締役には説明義務が課されています(破産法40条)。

また,役員等が説明を拒絶した場合や虚偽説明をした場合には,刑事罰を科すことができると定められています(破産法268条)。

実務では,破産手続開始後すぐに,破産管財人と申立人・債務者との打ち合わせが行われ,そこで最初の事情の聴取が行われます。

東京地方裁判所本庁の場合には,破産手続開始の申立て後破産手続開始前に,破産管財人候補者と申立人(および申立代理人)の打ち合わせを行わなければならないとされています。

特定管財になるような複雑な事件や大規模な事件の場合や債権者破産申立ての場合には,破産手続開始の申立て後破産手続開始前に,裁判所において,裁判官・破産管財人候補者同席の上で,申立人や債務者に対する事情聴取が行われることもあります。

もちろん,事情聴取は,最初の時点だけでなく,破産手続中を通じて行われます。電話やメール,申立人・債務者に報告書の提出を求めるなどの方法で事情聴取がなされることもあります。

>> 破産管財人の説明請求権とは?

帳簿・書類・資料の精査

破産管財人は,破産財団を調査するため,破産財団に関する帳簿,書類その他の物件を検査することができ(破産法83条1項),破産者がその検査を拒絶した場合,刑事罰を科されることがあります(破産法268条3項)。

実務では,破産手続開始後すみやかに(東京地方裁判所本庁では破産手続開始の申立て後破産手続開始前に)破産管財人と申立人・債務者との打ち合わせが行われ,その際に,決算書・通帳類・各種帳簿類・その他の資料の引継ぎも併せて行うことが多いと思われます。

引継書類に不足するものがあれば,破産管財人は,申立人・債務者に対して,その書類・資料の提出を求め,それらの書類・資料を精査して,破産財団を調査していきます。

これら破産財団に関する帳簿類等を,債権者を害する目的で,隠匿・偽造・変造した場合,刑罰を科されることもあります(破産法270条)。

>> 破産管財人の帳簿等の検査権とは?

債権者・利害関係人からの事情聴取・情報提供

前記のとおり,破産財団の調査の中心は,書類の精査と申立人・債務者からの事情聴取ですが,それだけでは,破産財団を完全に調査しきれないこともあります。

そこで,破産管財人は,債権者や利害関係人からも事情を聴取して,破産財団を調査することもあります。

破産者によって隠匿・秘匿されていた財産が,債権者や利害関係人からの情報提供によって発覚することも少なくありません。

>> 破産手続の関係者とは?

現地調査

前記のとおり,破産管財人は,破産財団を調査するため,破産財団に関する帳簿,書類その他の物件を検査することができます。

申立人等に対して財産に関する説明や資料の提出を求める方法もありますが,財産が物である場合には,その物を現認するのが最も確実です。

そこで,破産管財人が自ら事業所や倉庫など財産の所在地を訪れて破産財団を調査するのが一般的です。

>> 破産管財人が事業所等の現地調査をすることはあるか?

郵便物の転送

破産法 第81条 第1項

裁判所は,破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは,信書の送達の事業を行う者に対し,破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成14年法律第99号)第2条第3項に規定する信書便物(次条及び第158条第5項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。

破産法 第82条 第1項

破産管財人は,破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは,これを開いて見ることができる。

裁判所は,破産管財人の職務遂行のために必要があると認めるときは,破産者宛ての郵便物や信書を破産管財人に転送するよう,郵便事業者に対して嘱託することができます(破産法81条1項)。

つまり,破産法人・会社に送られてくる郵便物が,すべて破産管財人に届けられるようになるということです。破産管財人は,転送されてきた郵便物等を開披して内容を確認することができます(破産法82条1項)。

この郵便物の転送によって財産に関する情報が見つかることも少なくありません。

破産法81条1項の規定によると郵便物等の転送嘱託は任意のものとされていますが,実務上は,郵便物については転送嘱託の措置がとられるのがむしろ通常でしょう。

東京地方裁判所(立川支部を含む。)でも,全件について郵便物の転送嘱託の措置がとられています。

>> 破産すると郵便物等はどうなるのか?

照会・調査嘱託

申立人,債務者,債権者または利害関係人から事情を聴取したり,資料の提出を求めたりするだけではなく,公的機関や第三者に情報の提供を求めて破産財団を調査しなければならない場合もあります。

その場合,破産管財人は,当該公的機関や第三者に対して照会をし,情報の提供を求めることになります。弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会を利用して照会する場合もあります。

なお,破産管財人は,民事訴訟法186条の調査嘱託または同法226条の文書送付嘱託を破産裁判所に申し立てて,破産裁判所から照会先に対して調査嘱託または文書送付嘱託をしてもらうことができると解されています(破産法8条2項,13条)。

相手方が任意の照会に応じない場合には,この調査嘱託や文書送付嘱託の制度を利用して,公的機関や第三者に対して照会をすることもあり得るでしょう。

>> 破産手続においても調査嘱託や文書送付嘱託は認められるか?

その他の調査方法

これまで述べてきたとおり,破産財団を調査する方法にはさまざまな方法がありますが,破産財団の調査方法は特に限定されていないため,前記までに挙げてきたものに限られるわけではありません。

場合によっては,調査機関や興信所等(もちろん適法な機関・方法で)を利用して調査するということもあり得るでしょう。

また,調査方法そのものではありませんが,破産者や利害関係人等から調査に抵抗された場合,破産管財人は,その抵抗を排除するために,裁判所の許可を得て,警察上の援助を受けることができるとされています(破産法84条)。

>> 破産管財人はどのような調査を行うのか?

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