法人・会社の破産手続イメージ

法人・会社の破産手続

破産すると郵便物等はどうなるのか?

裁判所は,破産管財人の職務遂行のために必要があると認めるときは,信書送達事業者に対し,破産者宛ての郵便物または信書郵便を,破産管財人に配達するよう嘱託することができるとされています(破産法81条1項)。つまり,破産者宛の郵便物等は,破産管財人に転送されるということです。郵便物等の転送嘱託は,破産手続が終了した場合には取り消されます(同条3項)。実務では,ほとんど全件について,郵便物等の転送嘱託が実施されています。

以下では,破産すると法人・会社は消滅するのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

郵便物等の回送(転送)嘱託

破産法 第81条

第1項 裁判所は,破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは,信書の送達の事業を行う者に対し,破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成14年法律第99号)第2条第3項に規定する信書便物(次条及び第158条第5項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。
第2項 裁判所は,破産者の申立てにより又は職権で,破産管財人の意見を聴いて,前項に規定する嘱託を取り消し,又は変更することができる。
第3項 破産手続が終了したときは,裁判所は,第1項に規定する嘱託を取り消さなければならない。
第4項 第1項又は第2項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては,破産者又は破産管財人は,即時抗告をすることができる。
第5項 第1項の規定による決定に対する前項の即時抗告は,執行停止の効力を有しない。

破産法 第82条

第1項 破産管財人は,破産者にあてた郵便物等を受け取ったときは,これを開いて見ることができる。
第2項 破産者は、破産管財人に対し、破産管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で破産財団に関しないものの交付を求めることができる。

破産手続の目的は,破産者の財産を適正に換価処分して,それによって得た金銭を,各債権者に対して公平・平等に分配することにあります。

破産者の財産を管理処分し,債権を調査して,債権者に対して弁済または配当を実施するのは,裁判所により選任される破産管財人です。

この破産管財人による財産や負債の調査をより確実にするため,裁判所は,破産管財人の職務遂行のために必要があると認めるときは,信書送達事業者に対し,破産者宛ての郵便物または信書郵便を,破産管財人に配達するよう嘱託することができるとされています(破産法81条1項)。

要するに,裁判所は,破産者宛ての郵便物や信書郵便を,破産管財人のもとに回送(転送)するよう,郵便局や信書郵便を扱う民間事業者に対して要請できるということです。

この破産者宛て郵便物の転送嘱託は法律に基づく嘱託であるため,嘱託された郵便局等は,これを拒否することはできません。

この郵便物等の転送嘱託により,破産手続中は,破産者宛ての郵便物等はすべて破産管財人に送られることになります。

法人・会社の破産の場合であれば,その法人・会社宛てに送られてきた郵便物等が破産管財人に転送されます。役員等の個人宛てに送られてきた郵便物は転送されません。

そして,破産管財人は,転送されてきた破産者宛て郵便物等を開披して,内容を確認することができます(破産法82条1項)。

破産者宛ての郵便物から,新たな財産や負債などが発覚することは少なくありません。そのため,この郵便物の転送嘱託は,破産管財人による調査においてかなり重要な位置を占めていると言ってよいでしょう。

なお,破産者は,破産管財人に対し,破産管財人が転送により受領した郵便物等を閲覧することができ,また,その転送郵便物等が破産財団に関しないものであれば,破産管財人に対し,それを交付するよう求めることができます(破産法82条2項)。

>> 破産者はどのような制約を受けるのか?

転送される郵便物等

転送嘱託により破産管財人のもとに送られることになるのは,「郵便物」と「民間事業者による信書の送達に関する法律2条3項に規定する信書郵便」です。

郵便物とは,郵便によって送達される書類や物品のことです。郵便物は,日本郵政株式会社およびその傘下にある日本郵便株式会社(郵便局)かによって取り扱われます。

郵便物には,手紙・ハガキ・定形郵便物・定形外郵便物・レターパックなどが含まれます。

民間事業者による信書の送達に関する法律2条3項に規定する信書郵便とは,信書便の役務により送達される信書(その包装およびその包装に封入される信書以外の物を含む。)のことをいいます。

信書とは,特定の受取人に対し,差出人の意思を表示しまたは事実を通知する文書のことです。例えば,契約書・納品書・領収書・見積書などが信書に当たると解されています。

これらの信書が郵便によって送付される場合に信書郵便と呼ばれます。

他方,郵便物や信書郵便ではない宅急便や宅配便は,貨物自動車運送事業法2条6項の「特別積合せ貨物運送」に該当するため,郵便物等ではないので,転送の対象となりません。

また,郵便局の事業であっても,ゆうパックやゆうメールは宅配便と同様の扱いの送付物であるため,転送の対象になりません。

ただし,郵便局のミスにより,ゆうパックやゆうメールも破産管財人に転送されることがあります(郵便局にはミスがないと思われている方が多いと思いますが,この転送嘱託については,意外と,転送すべきでない郵便物が間違って転送されてしまうことが少なくありません。)。

もっとも,法人・会社の破産の場合には,すでに事業を停止しているのが通常ですから,ゆうパック等も破産管財人に転送されてしまったとしても,さほどの不利益は生じないでしょう。

郵便物が転送される期間

郵便物の転送嘱託をすることができる期間は,破産手続中のだけです。破産手続が終結すれば,転送嘱託は取り消されなければなりません(破産法81条3項)。

東京地方裁判所立川支部も含む。)の場合,個人破産であれば,原則として,破産手続開始から第1回の債権者集会期日までが転送期間とされていますが,法人・会社の破産の場合には,最終の債権者集会期日までが転送期間とされています。

郵便物の転送に対する異議申立て

本来,破産者に送達されるはずの郵便物を破産管財人に強制的に転送させるというのは,破産者の通信の秘密(日本国憲法21条2項後段)に対する重大な制約です。

そこで,破産者は,郵便物の転送嘱託に対して異議を申し立てることができます(破産法81条2項)。

破産者による異議申立てがあった場合,裁判所は,破産管財人の意見を聴いた上で,転送嘱託を取消しまたは変更するのが相当と判断したときは,その転送嘱託を取消しまたは変更することができます。

破産者の異議申立てがなくても,裁判所は,破産管財人の意見を聴いた上で,職権で転送嘱託を取消しまたは変更することができます。

ただし,実務では,裁判所による転送嘱託の取消しまたは変更がされるkとはほとんど無いでしょう。

なお,郵便物等転送嘱託の決定またはこれを取消しまたは変更する決定に対しては,破産者または破産管財人は即時抗告をすることができます(破産法81条4項)。

実務における運用

前記のとおり,裁判所は,郵便物の転送嘱託をすることが「できる」と規定されています。したがって,裁判所は必ず転送嘱託をしなければならないわけでありません。

もっとも,実務では,ほとんど全件について,郵便物等の転送嘱託がなされるています。

東京地方裁判所(立川支部も含む。)や大阪地方裁判所でも,全件について郵便物等の転送嘱託がなされています。

破産における郵便物等の転送嘱託に関連する記事

弁護士による法人・会社倒産【無料相談】のご予約

お電話042-512-8890
※予約制(ご予約受付は平日9:30~18:30)

東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所

この記事がお役に立ちましたらシェアお願いいたします。

法人・会社の破産のことならLSC綜合法律事務所まで!

法人・会社の自己破産でお困りの方がいらっしゃいましたら,債務相談2000件以上,自己破産申立て300件以上,破産管財人経験もある東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所にご相談ください。

ご相談は無料相談です。

※なお,当事務所にご来訪いただいてのご相談となります。お電話・メール等による相談は承っておりません。予めご了承ください。

>> 弁護士による法人・会社自己破産申立ての無料相談

東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所

LSC綜合法律事務所ロゴ名称:LSC綜合法律事務所

住所:190-0022 東京都立川市錦町2丁目3-3 オリンピック錦町ビル2階

ご予約のお電話:042-512-8890

ホームページ:

代表弁護士:志賀 貴(日弁連登録番号35945・旧60期・第一東京弁護士会本部および多摩支部所属)

LSC綜合法律事務所までのアクセス・地図

  • JR立川駅(南口)および多摩都市モノレール立川南駅から徒歩5~8分ほど
  • お近くにコインパーキングがあります。

>> LSC綜合法律事務所のご案内

弁護士による法人・会社倒産【無料相談】のご予約

お電話042-512-8890※予約制(ご予約受付は平日9:30~18:30)

東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所

このページの先頭へ