破産管財人の公正中立義務とは?
破産管財人には公正中立義務が課されています。公正中立義務とは,破産管財人は,職務の執行にあたり,すべての利害関係人に対して公正中立でなければならない義務のことをいいます。
以下では,破産管財人が負う公正中立義務とはどのような義務なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
破産管財人の地位・立場
破産手続は,裁判所により選任される破産管財人が遂行していきます。
破産手続の目的は,「支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」にあります(破産法1条)。
第一の目的は,「債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図る」ことによって,債権者に対して平等・公平に債務者の財産を分配するところにあります。
したがって,破産管財人は,総債権者の利益を図るべき立場にあるといえます。
しかし,それだけではなく,破産手続には「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図る」目的もありますから,破産管財人には,債務者の経済的更生を促すべき立場もあります。
さらに,破産手続には,債務者(破産者)の財産を社会に還元するという社会経済的な意義があるといわれていますし,破産事件には,大型事件や詐欺的行為が問題となっている場合のような社会的に関心を寄せられている事件などもあります。
したがって,ただ債権者や債務者または利害関係人の利害を調整するだけにとどまらず,社会正義を実現するような対応や措置をとることも破産管財人に求められます。
つまり,破産管財人は,債権者または債務者のどちらかの立場に与するわけではなく,その両者の利害を調整しつつ,さらに第三者も含めた社会全体に対して責任を負うべき立場にもあるということです。
その意味で言うと,破産管財人は,当該破産管財人を選任した破産裁判所の代理人的な立場にあるといえます。
そのため,破産管財人には,誰か特定の利害関係人のみの利益を図るのではなく,公正中立に業務を遂行しなければならない「公正中立義務」が課されていると解されています。
破産管財人の公正中立義務
前記のとおり,破産管財人には公正中立義務が課されています。公正中立義務とは,破産管財人は,職務の執行にあたり,すべての利害関係人に対して公正中立でなければならない義務のことをいいます。
したがって,特定の債権者,債務者(破産者),または特定の利害関係人のみを,不当に優遇するような措置をとることは許されません。
もちろん,破産管財人は総債権者の利益を図るために破産財団を増殖させるよう尽力しなければなりませんが,それはあくまで「総債権者」のためであって,特定の債権者のためではありません。
また,債務者の経済的更生を図る必要があるといっても,総債権者や利害関係人等の利益を不当に害してまで債務者の経済的更生を図る措置をとるという意味でもありません。
あくまで,破産法その他法令の範囲内で,総債権者の利益を図り,債務者の経済的更生を図り,また利害関係人の権利を調整するのであって,誰か特定の人だけを,法令の定めを超えて優遇することはできないのです。
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