破産管財人はどのような調査を行うのか?
破産管財人は,破産財団および債権者について調査を行います。個人(自然人)の破産においては,上記のほか,免責に関しても調査を行います。
以下では,破産管財人はどのような調査を行うのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
破産管財人の職務
破産手続の基本類型は管財事件です。この管財事件においては,裁判所によって「破産管財人」が選任されます。
破産管財人とは,破産裁判所から選任されて,その指導・監督の下,破産手続における破産財団の調査・管理・換価処分・各債権者に対する弁済または配当等の手続を行う者のことをいいます。
破産管財人は,上記の職務を行うために,破産財団・債権者についての調査を行います。個人の破産の場合には,破産財団や債権の調査のほか,免責に関する調査も行います。
>> 破産管財人の職務とは?
破産財団の調査
破産手続は,破産管財人が,破産者の財産(破産財団)を管理・回収して換価処分し,それによって得られた金銭を各債権者に配当または弁済していくという手続です。
もっとも,破産財団に属する財産を適切に管理・回収していくためには,その前提として,そもそもどのような財産があるのか,その財産はどのような状態にあるのか,どこにどのように保管されているのか,どのような管理方法が必要となるのかなどを把握しておかなければなりません。
また,換価処分に向けて,財産の状態や換価価値,担保の有無やその財産に関する権利関係なども調査する必要があります。
法人・会社の破産の場合,個人(自然人)の破産と異なり自由財産は認められませんので,破産管財人が調査すべき対象となるのは,法人・会社の有するすべての財産・資産です。
これらの破産財団の調査を行うのは,破産管財人の職務です。そして,調査結果をもとに破産財団を回収・管理し,最終的には換価処分することになります。
債権の調査
前記のとおり,破産手続は,破産財団に属する財産を換価処分して,それによって得た金銭を各債権者に対して配当または弁済する手続です。
そして,各債権者に対して,公平,平等そして正確に配当や弁済をするためには,まず,どのような債権があるのか,その債権の正確な金額はいくらか,債権について担保権等は設定されていないか,などを把握しておかなければなりません。
そのため,破産管財人は,配当または弁済をすべき債権についても調査をする必要があります。債権者の調査は,破産手続内における債権調査手続よって行われます。
具体的にいうと,裁判所または破産管財人は,申立人が提出した債権者一覧表の記載をもとに,各債権者に対して破産債権届出書等を送付し,それに対して各債権者は,破産債権届出書または交付要求書を裁判所または破産管財人に提出します。
この提出された破産債権届出書や交付要求書をもとに,その他の資料等と突き合わせるなどして,債権の内容や金額等を調査することになります。
もっとも,債権者一覧表にすべての債権者が記載されているとは限りません。そこで,破産管財人は,債権者一覧表に記載する者以外にも債権者に該当するべき者がいるのかどうかも調査します。
新たに債権者が判明した場合には,その新たな債権者に対しても同じように,破産債権届出書等を送付して,債権を調査していきます
免責の調査
個人(自然人)の破産においては,免責制度が設けられています。破産管財人は,この免責についても調査をします。
具体的には,免責不許可事由があるのか,免責不許可事由があるとして裁量免責事由があるのかを調査します。そして,その調査結果をもとに,裁判所に対して免責に関する意見を述べることになります。
調査の方法
破産管財人による調査は,以下のような各種の方法によって行われます。
- 破産手続開始の申立書の精査
- 申立人・債務者等からの聴取
- 申立人等に対する資料提出の依頼およびその資料の精査
- 事業所等の現地調査
- 転送郵便物の開披およびその調査
- 関係者に対する資料提出の依頼または調査嘱託
破産管財人による調査の端緒は,破産手続開始の申立書です。申立書および申立書の添付資料を精査して大まかな内容を把握していきます。
その上で,申立人および申立人代理人と打ち合わせ(面談)を行って事情を聴取し,詳細を確認していくことになります。
また,申立人・債務者から法人・会社の帳簿類等の引継ぎを受けて,その資料を精査します。
引継が無い場合でも,破産管財人は,破産財団に関する帳簿等を検査する権限(帳簿等の検査権)が認められているため,この検査権に基づいて帳簿等の検査をすることができます。
申立人や債務者だけでなく,債権者や利害関係人等から情報提供を受けることもあります。破産管財人には,役員や従業員,破産会社の子会社等に対して説明を求める権限(説明請求権)が認められています。
役員などの説明義務者だけでなく,破産管財人から債権者や利害関係人に対して照会を行って調査をすることもあります。
事業所や倉庫などがある場合には,現地に赴き,実際の在庫品や機材等の状況を確認するのが通常でしょう。
さらに,破産手続中は,破産法人宛ての郵便物はすべて破産管財人に転送されるのが通常です。破産管財人は,その転送郵便物を開披して内容を確認し,その結果,新たな財産が発覚することも少なくありません。
このように,破産管財人は,さまざまな方法を用いて,破産財団,破産債権または免責について調査を進めていきます。
破産管財人による調査に関連する記事
この記事がお役に立ちましたらシェアお願いいたします。
法人・会社の破産のことならLSC綜合法律事務所まで!
法人・会社の自己破産でお困りの方がいらっしゃいましたら,債務相談2500件以上,自己破産申立て300件以上,破産管財人経験もある東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所にご相談ください。
ご相談は無料相談です。
※なお,当事務所にご来訪いただいてのご相談となります。お電話・メール等による相談は承っておりません。予めご了承ください。
東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所
名称:LSC綜合法律事務所
住所:〒190-0022 東京都立川市錦町2丁目3-3 オリンピック錦町ビル2階
ご予約のお電話:042-512-8890
ホームページ:https://www.lsclaw.jp/
代表弁護士:志賀 貴(日弁連登録番号35945・旧60期・第一東京弁護士会本部および多摩支部所属)
LSC綜合法律事務所までのアクセス・地図
- JR立川駅(南口)および多摩都市モノレール立川南駅から徒歩5~8分ほど
- お近くにコインパーキングがあります。