破産管財人とは?
破産管財人とは,破産裁判所によって選任され,破産裁判所の指導・監督の下に,破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者のことをいいます(破産法2条12項)。また,破産債権者に対する弁済や配当の手続も行います。破産裁判所の管轄地域内に所在する法律事務所に所属する弁護士が選任されるのが通例です。
以下では,破産管財人とはどのような職務を行う人のこというのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
破産管財人とは?
破産手続は,破産者の財産を換価処分して金銭に換えて,それを各債権者に対して弁済または配当するという倒産手続です。
破産者の財産を換価処分しなければならないのですから,その前提として,換価処分すべき破産者の財産(破産財団)を調査し,また換価処分するまで価値が減じないように管理しておかなければなりません。
とはいえ,この破産財団に属する財産を調査・管理・換価処分・弁済または配当するという行為・手続をすべて裁判所が行うのは,裁判所の人的・物的な規模からすると非常に困難です。
そこで,この破産財団の調査・管理・換価処分・弁済または配当等を,言ってみれば,裁判所外の誰かに外注する必要があります。その外注機関が「破産管財人」です。
すなわち,破産管財人とは,破産裁判所から選任されて,その指導・監督の下で,破産手続における破産財団の調査・管理・換価処分・弁済または配当等の手続を行う者のことをいいます。
実際の破産手続においても,手続の遂行は,この破産管財人によって主導されていくことになります。
>> 破産手続とは?
破産管財人の地位・立場
破産管財人は,破産者の財産を調査・管理・換価処分して,各債権者に弁済または配当するという役割がありますから,その点からすると,たしかに,債権者の代理人的な立場にあるともいえます。
しかし,破産法はその目的の1つに破産者の経済的更生を図ることも挙げています(破産法1条)から,その点からすると,破産者の代理人的な立場もあるといえます。
つまり,破産管財人は,債権者の代理人的な立場にありますが,それだけではなく,破産者の経済的更生も図らなければならないという両面的な立場にあるということです。
ここには矛盾があるようにも思えます。しかし,破産管財人は,債権者や破産者に選任されるわけではなく,あくまで裁判所によって選任される者であるということを考慮しなければなりません。
裁判所から選任されるという点から考えるならば,破産管財人はどのような立場にあるのかというと,債権者・破産者の一方に与するというのではなく,両者の立場を考慮しつつも,あくまで公正中立に手続を遂行すべき立場にあるということです。
その意味では,破産管財人は,裁判所の代理人的な立場にあるともいえるでしょう。
破産管財人の権能・職務(管財業務)
破産法 第2条 第12号
この法律において「破産管財人」とは,破産手続において破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者をいう。
破産法によれば,破産管財人は,破産財団に属する財産の管理・処分権を有しているとされています。
つまり,破産手続の開始によって,破産者は財産に対する管理処分権限を失い,その権限が破産管財人に移行するということです。
したがって,破産手続開始移行,破産者は,もはや自分の財産を勝手に処分するようなことができなくなります。
このように,破産管財人には破産財団に属する財産の管理処分権が与えられていますが,それは同時に,破産管財人は,その財産を管理し,換価処分しなければならない職務(「管財業務」と呼ばれています。)が課せられているということでもあります。
たとえば,破産財団に属する財産等について裁判が提起された場合などには,破産者自身ではなく,破産管財人が当事者となります。
また,破産財団に属する財産を管理・処分する権限があるということは,どのような財産が破産財団に属するのかを調査する必要があります。
破産管財人には,破産財団に属する財産の調査をしなければならないという職務もあります。
そして,破産財団を確保するために,破産管財人には,否認権行使などの特別な権限が与えられています。
なお,個人の破産の場合には,破産管財人には,免責不許可事由や裁量免責に関連する事実の調査をして,それに基づいて,裁判所に対して免責に関する意見を述べるという権限・職務もあります。
破産管財人の義務・責任
破産管財人は,裁判所から選任され,公平中立な立場で,債権者の利益を最大化できるように業務を行っていかなければならない立場にあります。
したがって,破産管財人には,管財業務を行うに当たって,法的な義務を課されています。破産管財人に課せられている法的義務としては,以下のものがあります。
- 善良な管理者の注意をもって職務を行わなければならない義務(善管注意義務。破産法85条1項)
- すべての利害関係人に対して公正中立でなければならない義務(公正中立義務)
- 忠実義務
- 裁判所に対する報告義務(破産法157条1項,158条等)
裁判所は破産管財人の職務執行を監督する立場にあります。破産管財人が上記の義務に違反した場合,裁判所は破産管財人に対して職務執行の是正を求め,また重大な義務違反がある場合には,破産管財人を解任することができます(破産法75条)。
また,破産管財人の義務違反によって利害関係人に損害を与えた場合,破産管財人は,その損害を被った利害関係人に対して損害賠償責任を負わなければならないこともあります(破産法85条2項,民法709条等)。
そのほか,破産管財人が任務に違背した場合や職務に関して賄賂を収受した場合などには,破産管財人等の特別背任罪(破産法266条)や収賄罪(破産法273条)などといった破産犯罪が成立し,刑罰を科されることもあります。
破産管財人の選任
破産管財人には,破産法の専門的な法的知識や実務経験が求められます。そのため,破産管財人に選任されるのは弁護士です。
法律上,弁護士に限る旨の規定はありませんが,実務上,弁護士以外の者が選任される例はほとんどありません。
破産管財人を選任するのは,もちろん,破産裁判所です。破産手続の開始決定と同時に,破産管財人が選任されることになります。
ただし,実際には,破産手続開始決定前に,すでに裁判所から選任予定の弁護士に破産管財人就任の打診がなされ,内定されています。
破産管財人に選任される弁護士は,当該事件の破産裁判所の管轄地域内に所在する法律事務所に所属する弁護士が選任されるのが通常です。
たとえば,東京地方裁判所の破産事件であれば,東京都23区内に所在する法律事務所の所属弁護士が選任されます。
東京地方裁判所立川支部の破産事件であれば,東京都多摩地区に所在する法律事務所の所属弁護士が選任されるのが一般的です(ただし,23区内に所在する法律事務所の所属弁護士が選任される場合もあります。)。
東京 多摩 立川のLSC綜合法律事務所の弁護士志賀貴も,東京地方裁判所立川支部の破産管財人に選任されています。
もっとも,破産管財人には,弁護士個人だけでなく,弁護士法人もなることができます。
そのため,事案の内容や規模によっては,当該事件の破産裁判所の管轄地域内に所在する弁護士法人が選任されることもあり得ます。
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