破産法とは?
破産法は,倒産手続の1つである破産手続の要件・効果・手続などを定める法律です。倒産法の基本法とされています。法人破産・会社破産の手続もこの破産法によって規律されています。
以下では,破産法とはどのような法律なのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所が分かりやすくご説明いたします。
破産法とは
倒産に関わる法体系を倒産法と呼ぶことがあります。この倒産法体系において最も基本となる法律が「破産法」です。
他の倒産手続きである特別清算・民事再生・会社更生なども,この破産法を基本として,各法律に規定されています。
破産法は,倒産手続の基本類型である破産手続について規定する法律です。破産手続の要件・効果などの実体面だけでなく,実際の破産手続の方式など手続面も規定しています。
この破産手続とは,裁判所によって選任された破産管財人が,破産者の財産を管理・換価処分して,それによって得た金銭を各債権者に対して弁済または配当する手続です。
破産手続により,破産者である法人・会社は消滅することになります。
そのため,破産手続は「法的整理」の「清算型」に含まれ,その清算型倒産の基本類型でもあります。
>> 倒産法とは?
破産法の目的
破産法 第1条
この法律は,支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続を定めること等により,債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図るとともに,債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的とする。
破産法の目的は,破産法第1条に規定されています。
破産法の第1の目的は,上記のとおり,「債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整し,もって債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図る」ことです。
すなわち,債権者や利害関係人の利益をいかに図るかということが重大な目的とされてきます。そして,その各債権者については,適正かつ公平に取扱わなければならないということです。
そもそも,破産という手続は,倒産状態に陥った債務者の財産が,債権者等の間で奪い合いになり,債権者間での公平・平等が害されるのを防ぐために,裁判手続によって,債務者の財産を公平・平等に分配するための手続です。
したがって,破産法の第1の目的は,やはり債権者の利益を確保するというところにあるとされるのです。
第2の目的は,「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ること」にあります。むしろ,一般的にはこちらの目的のイメージの方が強いかもしれません。
すなわち,破産手続によって負債を清算することによって,債務者の経済的更生を図ろうということです。個人の自己破産の場合には,特にこの債務者の経済的更生という目的が強いといえるでしょう。
>> 倒産法の目的とは?
破産法の内容
一般的に,法律の実体面と手続面は別個の法律によって規定されることが多いのですが,破産法の場合には,前記のとおり,破産の実体面だけではなく,破産の手続面についても同時に規定されています。
また,一般的な法人や個人の破産手続だけでなく,相続財産の破産や信託財産の破産などの特殊な破産手続についても規定されています。
破産手続について言うと,法人・会社の破産と個人の破産は特に区別されていません。ただし,個人破産に特有の手続として破産手続に付随する免責手続がありますが,この免責手続も破産法において規定されています。
加えて,破産手続の実効性を担保するために,破産犯罪と呼ばれる刑罰規定も設けられています。
>> 破産手続とは?
破産法の構成
破産法は,以下の構成になっています(令和2年8月14日現在)。
- 第一章 総則(第1条~第14条)
- 第二章 破産手続の開始
- 第一節 破産手続開始の申立て(第15条~第29条)
- 第二節 破産手続開始の決定(第30条~第33条)
- 第三節 破産手続開始の効果
- 第一款 通則(第34条~第46条)
- 第二款 破産手続開始の効果(第47条~第61条)
- 第三款 取戻権(第62条~第64条)
- 第四款 別除権(第65条・第66条)
- 第五款 相殺権(第67条~第73条)
- 第三章 破産手続の機関
- 第一節 破産管財人
- 第一款 破産管財人の選任及び監督(第74条~第77条)
- 第二款 破産管財人の権限等(第78条~第90条)
- 第二節 保全管理人(第91条~第96条)
- 第一節 破産管財人
- 第四章 破産債権
- 第一節 破産債権者の権利(第97条~第110条)
- 第二節 破産債権の届出(第111条~第114条)
- 第三節 破産債権の調査及び確定
- 第一款 通則(第115条・第116条)
- 第二款 書面による破産債権の調査(第117条~第120条)
- 第三款 期日における破産債権の調査(第121条~第123条)
- 第四款 破産債権の確定(第124条~第133条)
- 第五款 租税等の請求権等についての特例(第134条)
- 第四節 債権者集会及び債権者委員会
- 第一款 債権者集会(第135条~第143条)
- 第二款 債権者委員会(第144条~第147条)
- 第五章 財団債権(第148条~第152条)
- 第六章 破産財団の管理
- 第一節 破産者の財産状況の調査(第153条~第159条)
- 第二節 否認権(第160条~第176条)
- 第三節 法人の役員の責任の追及等(第177条~第183条)
- 第七章 破産財団の換価
- 第一節 通則(第184条・第185条)
- 第二節 担保権の消滅(第186条~第191条)
- 第三節 商事留置権の消滅(第192条)
- 第八章 配当
- 第一節 通則(第193条・第194条)
- 第二節 最後配当(第195条~第203条)
- 第三節 簡易配当(第204条~第207条)
- 第四節 同意配当(第208条)
- 第五節 中間配当(第209条~第214条)
- 第六節 追加配当(第215条)
- 第九章 破産手続の終了(第216条~第221条)
- 第十章 相続財産の破産等に関する特則
- 第一節 相続財産の破産(第222条~第237条)
- 第二節 相続人の破産(第238条~第242条)
- 第三節 受遺者の破産(第243条・第244条)
- 第十章の二 信託財産の破産に関する特則(第244条の2~第244条の13)
- 第十一章 外国倒産処理手続がある場合の特則(第245条~第247条)
- 第十二章 免責手続及び復権
- 第一節 免責手続(第248条~第254条)
- 第二節 復権(第255条・第256条)
- 第十三章 雑則(第257条~第264条)
- 第十四章 罰則(第265条~第277条)
- 附則
破産法と破産規則
破産規則は,破産法に対応して,破産手続の細目的事項を定める最高裁判所規則です。
破産規則には,破産手続の円滑な進行,柔軟な運用の実現,利害関係人に対する情報開示の充実,利害関係人の手続寛容を促進して手続の適正迅速を図るための規定が定められています。
実際に破産申立てをし破産手続を進めていくに当たっては,破産法だけでなく,破産規則の規定にも注意をしておく必要があります。
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