破産手続開始と同時に手続廃止になる同時廃止事件とは?
破産管財人が選任されず,破産手続開始と同時に手続が廃止によって終了する破産手続の例外的な事件類型のことを「同時廃止事件」と呼んでいます。
以下では,破産手続における同時廃止事件とは何かについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
同時廃止事件とは
破産手続は,裁判所によって破産管財人が選任され,その破産管財人が破産者の財産を調査・管理・換価処分して債権者に弁済または配当していくという「管財事件」が原則的形態です。
もっとも,破産手続が開始される時点で,破産管財人を選任して調査等を行わせる必要がないことが明らかであるという場合もあり得ます。そのような場合にまで,わざわざ破産管財人を選任するというのは無意味です。
そのため,破産手続には,管財事件のほかに,例外的な事件類型として,破産手続の開始と同時に,破産手続が廃止によって終了する場合があります。
破産手続の開始と同時に廃止となるため,「同時廃止事件」と呼ばれています。具体的には,破産手続開始決定と同時に「破産手続同時廃止決定」という裁判所の決定がなされることになります。
破産手続開始と同時に手続が終了するのですから,言うまでもなく,管財事件よりもはるかに迅速に決着が着きます。
また,破産管財人が選任されず,実質的な手続も行われないので,費用も管財事件よりもはるかに廉価です。
同時廃止となる場合
破産法 第216条 第1項
裁判所は,破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは,破産手続開始の決定と同時に,破産手続廃止の決定をしなければならない。
どのような場合に同時廃止事件となるのかについては,破産法に規定があります。
上記破産法216条1項のとおり,同時廃止事件となるのは「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」です。
破産財団とは,破産者の財産のうちで債権者への配当等の原資となる財産のことですが,この破産財団で,債権者に対する配当等どころか,破産手続費用さえも支払うことができない場合には,同時廃止となります。
要するに,破産者に破産手続費用を支払うだけの財産がないと認められるときには,同時廃止となるということです。
また,個人の破産手続の場合には,上記財産がないと認められる場合のほかに,免責不許可事由がないことも,同時廃止で終了されるための要件として必要とされる場合があります。
法人・会社の破産における同時廃止事件の運用
前記のとおり,同時廃止事件においては,破産管財人が選任されませんから,当然,破産者の財産等の詳細な調査もなされないということになります。
もっとも,法人・会社の破産の場合,その法人・会社は消滅してしまう以上,財産・資産を残しておくわけにはいきませんし,契約関係・権利関係もすべて清算しておかなければなりません。
そのため,調査漏れがあると,後に大きな問題となっていまします。
したがって,実務上,法人・会社の破産手続においては,管財事件となるのが通常です。同時廃止事件となることはほとんどないといってよいでしょう。
東京地裁をはじめとする各地の裁判所も,法人・会社の破産手続においては原則として同時廃止ではなく管財事件にすると明言しています。
もっとも,中小企業の場合には,管財事件ではあっても,通常の管財事件よりも予納金の金額の小さい少額管財の運用で取り扱われるのが一般的です。
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