法人破産・会社破産のデメリットとは?
法人破産・会社破産には,債務を消滅させることができるという強力な効力がある反面,デメリットもあります。法人・会社が破産すると,その法人・会社は消滅します。そのため,事業を継続することはできなくなり,財産・資産もすべて換価処分され,従業員も解雇しなければならなくなります。また,経営者である代表者や役員は経済的信用を失ったり,一定の法的責任を問われることもあります。法人・会社が破産すると,連帯保証人が支払いをしなければならなくなりますので,連帯保証人に迷惑をかけてしまうことにになります。そのほか,法人破産・会社破産には高額な費用がかかるという点もデメリットの1つと言えるでしょう。
以下では,法人破産・会社破産のデメリットについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。
- 法人破産・会社破産のデメリット
- 法人・会社の消滅・事業の廃止
- すべての財産・資産の処分
- 従業員の解雇
- 代表者・役員の経済的・職業上の信用の喪失
- 代表者・役員に対する責任追及
- 連帯保証人に迷惑をかけること
- 手続きが簡易ではないこと
- 多額の費用がかかる場合があること
法人破産・会社破産のデメリット
法人・会社の経営に行き詰り,多額の債務・負債を抱えてしまった場合,その法人・会社を自己破産させるという選択肢があります。
法人・会社が自己破産をすると,その債務・負債は消滅します。それにより,資金繰りや取立てに悩まされることがなくなり,代表者をはじめとした関係者は,新しいスタートを切ることが可能になります。
ただし,これだけ強力な効力を持つ手続ですから,その反面,法人破産・会社破産にはデメリットがあることも確かです。
デメリットがあるからと言って,自己破産させることを躊躇し,かえって負債を大きくしてしまっては良くありませんが,デメリットを踏まえた上で決断をする方が望ましいことは間違いありません。
法人・会社の消滅・事業の廃止
法人破産・会社破産の最大のデメリットは,やはり,それまで築き上げてきた法人・会社が消滅してしまうということでしょう。
法人・会社について破産手続が開始されると,その法人・会社は解散となり,法人格が消滅することになるのが通常です。法人格が消滅するというのは,つまり,その法人・会社が無くなるということです。
法人・会社が消滅するのですから,その事業を継続することはできなくなります。
例外的に,破産管財人が事業を継続することがありますが,破産管財業務に必要な限度で事業を継続をするだけです。最終的には,事業は廃止されます。
ただし,破産手続において事業譲渡が行われた場合には,法人・会社は消滅するものの,事業そのものは継続されます。
すべての財産・資産の処分
法人・会社について破産手続が開始されると,裁判所から選任された破産管財人によって,その法人・会社の財産・資産が換価処分されることになります。
個人(自然人)の破産の場合と異なり,法人・会社の破産の場合には,処分しなくてもよい財産(自由財産)はありません。したがって,すべての財産・資産が処分されてしまいます。
物だけではなく,債権などの権利そのものも換価処分されます。また,換価可能なものであれば,権利とは言えないノウハウや技術そのものなども換価処分されると解されています。
例外的に,破産管財人が破産財団から放棄した財産は,換価処分されません。しかし,破産財団から放棄されるのは,そもそも価値がないものや,処分するのに多額の費用がかかってしまうような廃棄物等のみです。
>> 法人・会社が破産するとすべての財産・資産が処分されるのか?
従業員の解雇
法人・会社の破産によって失われるのは,物的資産だけではありません。人的な資産も失われます。具体的に言うと,従業員を解雇しなければならないということです(任意に退職してもらうこともあります。)。
従業員の給料や退職金は,他の債権よりも優先的に支払いがなされるものではありますが,そもそも支払うだけの財産もないという場合には,それらを支払うこともできない,ということもあるでしょう。
例外的に,破産管財業務のために従業員の雇用を継続するなどの措置がとられることもありますが,あくまで破産手続中の間における一時的な措置にすぎません。
代表者・役員の経済的・職業上の信用の喪失
法人・会社が破産すると,金融機関からの借入れや取引先に対する買掛金などの債務も消滅します。当然,債権者は,満足に債権を回収できなくなります。
また,法人・会社が破産すると,それまでに請け負っていた仕掛中の仕事を完成前に取りやめなければならないことがあります。
そのため,法人・会社が破産すると,その経営者である代表者・役員は,取引先や顧客からの経済的な信用や職業上の信用を失うことになる可能性が高いでしょう。
そうなると,代表者や役員は,新たな企業に際して融資を受けることができなくなったり,関係者や同業者との取引を行えなくなるようなことが起きる可能性があります。
代表者・役員に対する責任追及
ただ単に法人・会社を破産させたという理由だけで,代表者や役員が法人・会社の債務について責任を負わなければならないということにはなりません。
しかし,代表者や役員が法人・会社の債務について連帯保証人になっている場合には,法人・会社が破産すると,連帯保証人である代表者や役員が代わりに支払いをしなければならなくなります。
また,代表者や役員が,故意または重大な過失で法人・会社に損害を与えていた場合や法人・会社の財産を個人名義に変えていたような場合には,破産管財人から損害賠償責任の追求や否認権を行使されることがあり得ます。
>> 法人・会社が破産すると代表者はどのような責任を負うのか?
連帯保証人に迷惑をかけること
前記のとおり,法人・会社が破産すると,連帯保証人が代わりに支払いをしなければならなくなります。
法人・会社の債務について連帯保証人になるのは,代表者や役員だけとは限りません。第三者や従業員などが連帯保証人となっているということもあり得ます。
法人・会社が破産した場合には,そのような連帯保証人になってもらっている方に迷惑をかけることになるというのも,デメリットの1つと言えるかもしれません。
手続きが簡易ではないこと
法人破産・会社破産の手続は,個人(自然人)の破産に比べると,かなり厳格に行われます。申立ての準備も,簡単ではありませんし,期間的にも,個人破産よりも長期に及ぶ場合があります。
また,代表者や役員は,破産管財人との打ち合わせ,財産処分における立会い,債権者集会への出頭など,手続への参加も求められます。
このように,手続が簡易でないことも,法人破産・会社破産のデメリットの1つと言えるかもしれません。
多額の費用がかかる場合があること
法人・会社を自己破産させる場合,個人の破産に比べて高額な費用がかかるのが通常です。
法人・会社の自己破産にかかる費用としては,裁判所の手数料,郵券,官報公告費や引継予納金や,弁護士に依頼する場合には弁護士費用も必要となります。
これらの費用は,法人・会社の現金や預金,またはその他の財産を換価して用意することになりますが,これらで不足する場合には,申立人が用意しなければならなくなります。
また,事案によっては,事業所などの残置物の撤去費用などが必要となることもないわけではありません。
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