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法人・会社の破産手続

賃貸借契約解除後に賃借人(借主)が破産した場合の賃貸借関係の清算処理とは?

賃貸借契約が解約(解除)された後に,賃借人である法人・会社について破産手続が開始された場合でも,当該契約に基づく債権債務関係は未清算のままであることがあります。その場合,破産管財人は,その債権債務関係を清算しなければなりません。

以下では,賃貸借契約解約後に賃借人(借主)が破産した場合の賃貸借関係の清算処理について,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

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賃貸借契約解約後に賃借人が破産した場合

法人・会社が事業を行うに当たって,不動産や事業設備等の動産を賃借していることは少なくありません。破産手続においては,賃貸借契約に基づく法律関係の清算も必要となってきます。

賃借人(借主)である法人・会社が破産手続開始を申し立てようという場合,事案によっては,破産手続開始の申立て前又は破産手続開始前に,賃貸借契約がすでに解約されている,あるいは,賃貸借契約を解約しておくということがあります。

この場合,破産手続開始前に賃貸借契約は終了していますから,破産手続開始後に,破産管財人契約解除等の処理を行う必要はありません。

もっとも,賃貸借契約の場合,契約それ自体が終了していたとしても,契約に基づく債権債務関係は清算されていないということがあり得ます。

したがって,破産手続開始前に賃貸借契約が終了していた場合でも,賃貸借契約に基づく債権債務関係が残っていれば,賃借人の破産手続において,その債権債務関係の清算処理が必要となってきます。

※この場合,破産手続開始時において賃貸借契約が終了しているので,厳密に言えば,破産者である法人・会社はすでに「賃借人」ではなくなっていますが,説明の便宜上,以下では,賃借人であった破産者を「賃借人」と言うことにします。

>> 賃借人である法人・会社が破産すると賃貸借契約はどうなるのか?

賃貸借目的物の返還・明渡し

破産手続開始前に賃貸借契約が解約されていた場合でも,破産手続開始時において,まだ賃貸借の目的物が賃貸人(貸主)に返還・明渡しされていないこともあります。

賃貸借契約が終了した場合,賃貸人は賃借人に対して目的物の返還・明渡しを求める請求権を取得し,他方,賃借人は賃貸人に対して目的物を返還・明け渡さなければならない義務を課せられます。

したがって,破産手続開始後,賃借人の破産管財人は,賃貸借の目的物を,賃貸人に対して返還し,目的物が不動産であれば明け渡さなければなりません。

賃貸借目的物の原状回復費用

破産管財人が賃貸借の目的物を返還する場合,目的物を原状に回復した上で返還しなけばならないのが原則です(民法622条,599条)。特に,不動産賃貸借の場合に問題となります。

破産手続開始前に賃貸借契約が解約されているものの,破産手続開始時において原状回復がなされていない場合,その賃貸人の原状回復請求権は,破産手続の開始によって金銭化され,破産債権となります(破産法103条2項1号イ)。

賃貸人が,自らの支出で,破産手続開始前に原状回復を行っていた場合には,支出した原状回復費用の請求権が破産債権となります。

ただし,支出した原状回復費用の金額が妥当な金額であるかどうかは,破産管財人または裁判所によって吟味されることになります。

賃借不動産内に残置物がある場合の収去費用

賃貸借の目的物が不動産である場合,その賃借物件内に,破産法人・破産会社の所有物が残置されていることがあります。

破産法人・破産会社の所有物は破産財団に属する財産ですから,破産管財人が管理処分権を有することになります。

破産手続開始前に賃貸借契約が解約されたものの,破産手続開始時においても,まだ賃借物件内に破産法人・破産会社の所有物が残置されている場合,賃借物件を不法に占有しているということになります。

したがって,その残置物の管理処分権を有する破産管財人が,残置物を収去しなければならない義務を負うことになります。

そして,この残置物の収去費用の請求権は,前記の現状回復費用請求権とは別に,破産管財人がした行為によって生じた請求権(破産法148条1項4号)として,財団債権となると解されています。

未払い・滞納している賃料

破産手続開始前に賃貸借契約が終了していたとしても,破産手続開始時において,賃料の未払い・滞納があるという場合もあります。

この賃料の請求権は,破産手続開始前の原因に基づく請求権ですから,破産債権となります(最一小判昭和43年6月13日参照。)。

賃貸借目的物の返還・明渡しまでの間の賃料相当損害金

前記のとおり,破産手続開始前に賃貸借契約が解約されていたとしても,破産手続開始時において,まだ賃貸借の目的物を賃貸人に対する返還・明渡しが完了していない場合もあります。

この場合,賃貸借契約は終了しているので賃料は発生しません。

しかし,目的物の返還・明渡しが完了していませんから,賃貸人から見れば,賃借人がいまだ借りて利用しているのと変わりません。

そのため,賃貸人は,賃借人に対し,賃貸借契約の終了から目的物の返還・明渡しが完了するまでの間の使用収益について,賃料相当額の損害賠償(これを「賃料相当損害金」と呼ぶことがあります。)を請求できます。

賃料相当損害金は,賃料そのものではありませんが,実質的には賃料と変わりがありません。したがって,破産手続においても,賃料とほとんど同じように扱われます。

具体的には,まず,賃貸借契約の解約から破産手続開始時までの間の賃料相当損害金の請求権は,破産手続開始前の原因に基づく請求権ですから,破産債権となります。

他方,破産手続開始後,目的物の返還・明渡しまでの間における賃料相当損害金は,破産管財人がした行為によって生じた請求権(破産法148条1項4号)として,財団債権となると解されています(前掲の最一小判昭和43年6月13日参照。)。

未精算の敷金・保証金

破産手続開始前に賃貸借契約が解約されていたとしても,破産手続開始時において,まだ敷金・保証金が未精算であるという場合もあります。

敷金・保証金の返還請求権は破産財団に属する財産です。したがって,破産管財人が賃貸人に対してその返還を請求し,回収した敷金・保証金を破産財団に組み入れることになります。

ただし,賃貸人は,滞納賃料・賃料相当損害金・原状回復費用・残置物撤去費用などを敷金・保証金から差し引いた上で,残余があればそれを破産管財人に返還することができます。

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