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破産手続において譲渡担保権はどのように扱われるか?

譲渡担保権は,所有権移転の形式をとりますが,担保権であると解されています。そのため,破産手続においても,譲渡担保権者が行使し得る権利は,取戻権ではなく,別除権であると解されています。

以下では,破産手続において譲渡担保権はどのように扱われるのかについて,東京 多摩 立川の弁護士 LSC綜合法律事務所がご説明いたします。

譲渡担保権とは?

譲渡担保とは,債権担保のために,債務者または第三者が所有する財産の所有権を設定者から譲渡担保権者に移転させ,被担保債権が弁済された場合にはその財産の所有権を設定者に復帰させ,債務不履行があった場合には,その財産の所有権を譲渡担保権者に帰属させ,その価額と債務残高の清算を行うか,または,譲渡担保権者がその財産を処分して清算を行うという形式の担保形態のことをいいます。

譲渡担保に関する民法上の明文はありません。もっとも,取引実務上,頻繁に利用されており,法律の解釈上も有効な担保形態として認められています。

譲渡担保の種類

この譲渡担保には,処分清算型と帰属清算型があります。

処分清算型譲渡担保とは,債務不履行があった場合に,譲渡担保権者が譲渡担保目的物を処分して,その処分代金を債務に充当し,余剰を譲渡担保設定者に返還して清算するという方式の譲渡担保です。

また,帰属清算型とは,債務不履行があった場合に,譲渡担保目的物の所有権を譲渡担保権者に帰属させ,譲渡担保権者がその目的物の価額と被担保債権額を清算して,差額があれば譲渡担保設定者に返還するという方式の譲渡担保です。

譲渡担保の法的性格

譲渡担保は,形式上,譲渡担保設定者の所有する財産が,譲渡担保設定者から譲渡担保権者に移転されます。

そこで,譲渡担保によって完全に所有権が移転するのか,それとも担保権にすぎないのかということが問題となります。

この点については,譲渡担保は,所有権移転の形式をとるものの,あくまで,債務不履行があった場合に,担保権者が目的物の所有権を取得または処分できるという担保権であると解するのが支配的な見解です。

そのため,破産手続においても,譲渡担保権者が有する権利は,所有権者としての取戻権ではなく,担保権者としての別除権であると解されています(更生手続きにおける譲渡担保権につき,最一小判昭和41年4月28日・民集20巻4号900頁)。

したがって,譲渡担保権者は,破産手続において,別除権の行使により,破産手続によらずに譲渡担保権を実行して優先的な弁済を受けることができます。

>> 破産手続における別除権とは?

破産手続における処分清算型の譲渡担保

処分清算型の譲渡担保権の場合,譲渡担保権者は,その譲渡担保の目的物を自ら処分して換価し,それを被担保債権に充当することができます。

そして,余剰があれば,その余剰分を譲渡担保設定者に支払うことになります。

破産手続においても,譲渡担保権者は,破産手続によらずに自ら目的物を処分して清算し,債権に充当した後,その余剰分を破産財団に支払うことになります。

破産管財人が目的物を管理している場合には,その目的物の引渡しを受けて換価処分し,清算した金額を破産財団に支払います。

他方,破産管財人は,譲渡担保権者に対して清算金の支払いを求めることができます。

また,換価処分前であれば,被担保債権を弁済することによって,目的物を受け戻すこともできると解されています(最二小判昭和57年1月22日最一小判昭和62年2月12日等)。

なお,目的物の処分価額が被担保債権に満たない場合,譲渡担保権者は,その不足額について破産債権者として参加することができます。

ただし,破産債権者として配当を受けるためには,最後配当の除斥期間内に譲渡担保権を実行して不足額を証明するか,または,破産管財人との間で被担保債権厳粛合意をしておかなければなりません(破産法198条3項)。

破産手続における帰属清算型の譲渡担保

帰属清算型の譲渡担保の場合,譲渡担保権者は,譲渡担保目的物を自ら取得することができます。

破産手続においても,譲渡担保権者は別除権を行使して,その目的物を取得することができ,目的物の価額と被担保債権の差額を清算して,その差額を破産管財人に支払うことになります。

譲渡担保目的物を破産管財人が管理している場合,破産管財人による目的物の担保権者への引渡しと清算金の支払いは同時履行の関係にあり(最一小判昭和46年3月25日等),破産管財人は,清算金の支払いがなされるまでその目的物の留置権を主張できると解されています(最二小判平成9年4月11日最二小判平成11年2月26日)。

また,破産管財人は,前記処分清算型の場合と同様,清算金の支払いを受けるまでは,被担保債権を弁済して目的物を受け戻すことができます。

なお,帰属清算型の場合も,目的物の処分価額が被担保債権に満たない場合,譲渡担保権者は,その不足額について破産債権者として参加することができます。

ただし,処分清算型の場合と同様,破産債権者として配当を受けるためには,最後配当の除斥期間内に譲渡担保権を実行して不足額を証明するか,または,破産管財人との間で被担保債権厳粛合意をしておかなければなりません(破産法198条3項)。

譲渡担保権者が破産した場合

前記までは,譲渡担保設定者である債務者が破産した場合の取扱いです。

譲渡担保権者が破産者である場合は,設定者は被担保債権を弁済して目的物を破産財団から取り戻すことができます。

譲渡担保設定者が被担保債権を弁済しない場合には,破産管財人が譲渡担保権を実行して清算をすることになります。この設定者の清算金請求権は,財団債権となります(破産法148条1項4号・5号)。

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