法人破産・会社破産に関する記事一覧
法人・会社の自己破産申立てのご相談・ご依頼
メリット・デメリット
法人破産手続の種類・流れ
管財事件
同時廃止事件
破産管財人
破産法人・会社の代表者
法人・会社の取締役・理事
債権者の立場・債権の取扱い
従業員・労働者への対応
出資者(社員・株主)
法人破産申立ての費用
破産手続開始申立ての準備
破産手続開始の申立書
破産手続開始の申立て
破産手続開始申立権者
破産事件の裁判管轄
破産手続開始前の保全処分
破産手続開始原因
破産手続の開始
法人・会社の財産の取扱い
破産財団
法人・会社の契約関係の処理
継続的給付目的双務契約の処理
賃貸借契約の処理
雇用契約・労働契約の処理
請負契約の処理
財団債権・財団債権者
破産債権・破産債権者
債権調査手続
別除権
取戻権
相殺の処理
他の手続との関係
破産手続の終了
法人破産・会社破産の概要
倒産手続には,裁判外で行われる私的整理を含め,さまざまな手続・方法があります。それらさまざまな倒産手続のうちでも最も基本的な手続は破産法に基づく「破産手続」です。
以下では,法人・会社の破産手続の概要について,東京 多摩 立川の弁護士がご説明いたします。
破産法
破産手続は「破産法」という法律に基づく裁判手続です。破産法は,倒産法の1つであり,また,倒産法の基本法でもあります。
破産法の目的は,債権者の平等を図るところにあります。破産手続によって破産者の財産を公平・平等に分配し,誰か1人の債権者だけが抜け駆けしないようにしているのです。
>> 破産法とは?
破産手続
前記のとおり,「破産手続」は,破産法に基づく裁判手続です。法的整理の1つであり,また法的整理の倒産手続,さらには倒産手続全体の基本類型ともいえる手続です。
具体的にいうと,破産手続とは,破産者の財産を換価処分して,それによって得た金銭を各債権者に弁済または配当する裁判手続です。
法人・会社が破産すると,その法人・会社は消滅します。
そのため,法人・会社が有していた財産はすべて換価処分されます。他方,借入金や買掛金等だけでなく,滞納税金なども含めて,負債・債務はすべて消滅することになります。
破産手続の原則的形態は,裁判所により破産管財人が選任され,その破産管財人が財産の調査・管理・換価処分・配当等を行う「管財事件」です。
例外的に,財産がないことが明らかな場合などには,破産管財人が選任されずに簡易迅速に破産手続が終結する「同時廃止事件」となることがあります。
債務者が自ら破産手続開始を申し立てることを「自己破産」といい,債権者が債務者の破産を申し立てる「債権者破産(債権者申立て)」といいます。
また,代表者等が個人の名義で法人・会社の破産を申し立てる場合を「準自己破産」といいます。
>> 破産手続とは?
管財事件
前記のとおり,破産手続には管財事件と同時廃止事件があります。破産管財人によって厳格な調査等が行われる管財事件の方が,手続的には複雑で厳格となります。
法人・会社の場合には,個人の場合に比べて,利害関係人も多く,財産や契約の状況が複雑であるため,同時廃止事件ではなく,管財事件となるのが通常です。
ただし,東京地方裁判所などでは,中小企業の場合,よほどの規模でない限りまたは大きな問題がある場合でない限り,裁判所への予納金の金額が少額で済む「少額管財」として扱われるのが通常です。
同時廃止事件
破産手続のうちでも,同時廃止事件の場合は,破産管財人が選任されませんので,管財事件の場合に比べてはるかに迅速に終了し,しかも,費用も廉価で済みます。
もっとも,前記のとおり,法人・会社の破産の場合には,同時廃止事件となることはほとんどないといってよいでしょう。
ただし,管財事件になるとはいっても,東京地方裁判所などでは,中小企業の場合,裁判所への予納金の金額が少額で済む「少額管財」として扱われるのが通常です。
法人・会社の破産手続の費用
法人・会社の破産には,弁護士報酬をはじめとして,破産手続のために必要となる予納金など各種の費用が必要となってきます。
したがって,法人・会社を破産させようと考えている場合には,これらの費用をあらかじめ用意しておかなければなりません。そのためにも,ある程度,早い段階で決断をする必要があるでしょう。
破産管財人
破産手続が開始されると,それと同時に,裁判所により「破産管財人」が選任され,破産者の財産の管理処分権は,すべて破産管財人に専属することになります。
この破産管財人が,財産の調査・管理・換価処分,債権の調査,契約関係等の清算処理,債権者への配当などの業務を行って破産手続を遂行していきます。
破産管財人には,破産手続を行う地方裁判所の管轄地域内にある法律事務所に所属する弁護士が選任されるのが通例です。
破産法人・破産会社は,破産管財人の行う管財業務に協力しなければなりません。
>> 破産管財人とは?
破産者(破産法人・破産会社)
「破産者」とは,債務者であって,裁判所により破産手続開始の決定がされているもののことをいいます。法人・会社が破産した場合は,その法人・会社が破産者であるということになります。
破産者の財産の管理処分権は,破産管財人に専属します。そのため,法人・会社の財産であっても,自由に処分することはできなくなります。
通常は,破産手続の開始によって法人・会社は解散となります。ただし,清算の目的の範囲内で法人格は存続し,破産手続が終了したときに完全に法人格が消滅すると解されています。
また,破産法人・破産会社には,重要財産開示義務や債権者集会への出頭義務などが課せられます。
>> 破産者とは?
破産法人・破産会社の代表者
法人・会社が破産したからといって,代表者が破産しているわけではありません。しかし,法人・会社は観念的な存在ですから,実際に破産手続において活動を行わなければならないのは,代表者です。
また,代表者には,破産管財人等に対して破産に関して必要な事項を説明しなければならない義務や居住制限が課せられます。
なお,法人・会社が破産したとしても,代表者が当然に法人・会社の債務について責任を負担しなければならないわけではありません。
ただし,法人・会社の負債について連帯保証人等になっている場合には,連帯保証人としての責任を負うことになります。つまり,破産する法人に代わって,個人として支払いをしなければならないということです。
また,法人・会社を破産させてしまった原因が,例えば,法人資産の使い込みや横領など不正な行為によるものである場合や著しい放漫経営をしていたことによるものである場合などには,破産管財人や第三者に対する損害賠償責任を負わなければならないこともあり得ます。
破産法人・破産会社の役員(理事・取締役)
代表者以外の理事や取締役も,代表者とともに破産手続において活動を行うことがあります。また,説明義務や居住制限も課せられます。
法人・会社が破産したからといって,理事や取締役が,当然に,法人・会社の債務を引き継いだり,損害賠償責任を負うことはありません。
ただし,法人・会社の負債について連帯保証人等になっている場合には,連帯保証人としての責任を負うことになります。つまり,破産する法人に代わって,個人として支払いをしなければならないということです。
また,法人・会社を破産させてしまった原因が,例えば,法人資産の使い込みや横領など不正な行為によるものである場合や著しい放漫経営をしていたことによるものである場合などには,破産管財人や第三者に対する損害賠償責任を負わなければならないこともあり得ます。
実際に不正な行為をしていない場合でも,理事や取締役の監視義務違反の責任を問われることもあり得ます。
従業員・労働者への対応
法人・会社が破産すれば,その法人・会社はなくなるのですから,従業員・労働者は職を失うことになります。したがって,従業員・労働者への対応を間違えると大きな問題となる場合があります。
法人・会社の自己破産を申し立てる前に,労働者・従業員を解雇するのが一般的です。ただし,いつ解雇するのかは,解雇予告手当の問題や情報漏えいの問題などを考慮に入れて検討する必要があるでしょう。
賃金の未払いがある場合には,従業員・労働者も債権者となります。労働債権は優先権がありますが,法人・会社の資産状況によっては,未払い賃金立替払い制度の利用等も考えておく必要があるでしょう。
債権者の立場・債権の取扱い
言うまでもなく,法人・会社が破産して不利益を被るのは,その法人・会社の債権者です。債権者の利害をいかに公平・平等に,かつ最大限図れるのかが,破産手続の目的です。
債権者は,破産手続開始後,その有する債権の内容に応じて,破産債権者や財団債権者として扱われることになります。
財団債権は破産手続開始後も弁済を受けられます。最も優先性が高い破産手続費用の債権や公租公課などが財団債権となります。
通常の債権は破産債権となりますが,破産債権のうちでも,公租公課や一般先取特権者などは優先的破産債権とされ,一般の破産債権よりも優先的に配当を受けることができます。
破産手続の流れ
破産手続を開始してもらうためには,まず管轄の裁判所に破産手続開始の申立てを行います。それが受理され要件を満たしていれば,裁判所によって破産手続が開始されます。
破産手続が開始されると,裁判所により破産管財人が選任され,破産管財人が破産した法人・会社の財産を調査・回収・管理・換価処分して,それによって得た金銭を各債権者に弁済または配当することになります。
破産手続開始申立て前の準備
法人・会社の破産手続を開始してもらうためには,「破産手続開始の申立書」と呼ばれる書面を作成する必要があります。
この破産手続開始の申立書には,債権者一覧表をはじめとして,各種の書類や疎明資料を添付しなければなりません。したがって,それらの書類作成や資料の収集も必要となります。
また,法人破産・会社破産の場合は,個人(自然人)の破産と異なり,受任通知の送付などをせずに,秘密裡に申立てをしなければならないこともあります。
そのため,ただ申立書を作成すればよいというわけではなく,いつ申立てをするのかを決定し,それに向けて,法人・会社の財産の管理方法の確保,事業所等の明渡し,従業員の解雇,顧客や取引先への説明などを申立て前に行うか否かなども検討しなければなりません。
>> 法人・会社の自己破産申立て前にはどのような準備が必要か?
破産手続開始の申立て
破産手続を開始してもらうためには,管轄の地方裁判所に対して破産手続開始の申立書を提出する方式で「破産手続開始の申立て」をする必要があります。
この破産手続開始の申立書には,債権者一覧表をはじめとして,各種の書類や疎明資料を添付しなければなりません。また,申立てに際しては,手数料や郵便切手の納付も必要です。
破産手続の開始
破産手続開始の申立てがされ,申立てが破産手続開始の要件を満たしていれば,裁判所は「破産手続開始決定」をします。かつては「破産宣告」と呼ばれていた決定です。
破産手続開始決定によって破産手続が開始されると,破産管財人が選任されて,破産者である法人・会社の財産の管理処分権が破産管財人に専属することになり,破産者が自ら財産を処分することはできなくなります。
また,各債権者も,破産手続において弁済・配当を受けることになるため,勝手に債権回収を図ることができなくなります。
財産・資産の取扱い
法人・会社が有していた財産は,破産手続が開始すると,破産財団として扱われ,すべての管理処分権が,破産管財人に専属することになります。
この破産財団に属することになった財産は,破産管財人によって換価処分され,それによって得た金銭は,債権者に弁済または配当されます。
個人の破産の場合には自由財産といって処分しなくてもよい財産が認められていますが,法人・会社破産の場合には,自由財産制度はありません。基本的にすべての財産・資産が処分対象となります。
>> 破産財団とは?
契約関係の処理
法人・会社が破産すると,その法人・会社は消滅します。したがって,その法人・会社に関わる契約関係も終了することになります。
ただし,破産手続の開始によって,契約関係がすべて当然に終了するわけではありません。契約をどの時点で解除するか否かは,破産管財人や契約当事者等に委ねられています。
なお,破産手続の開始によって当然に終了する契約もあります。例えば,委任契約は,当事者の一方が破産すると当然に終了するものとされています。
破産管財人の否認権
破産財団に組み入れられる財産は,破産手続開始時に法人・会社が有していた財産であるのが原則です。
しかし,その法人・会社が,本来であれば破産財団に組み入れられ,各債権者への弁済や配当の原資となったはずの財産外部に流出させてしまったことにより,債権者が本来受けられたはずの弁済や配当を受けられなくなるというのでは,債権者の利益を図ることができません。
そこで,破産管財人には「否認権」という権能が与えられています。
否認権とは,破産手続開始前に法人・会社から第三者や特定の債権者等へ移転した財産であっても,一定の場合には,その財産を取り戻して破産財団に組み入れることができるという権能です。
>> 破産管財人の否認権とは?
別除権
債権回収を確保するため,ある債権について,抵当権を設定するなどの担保物権を付けることがあります。担保権者は,他の債権者よりも優先して債権回収を図ることができます。
破産手続においても,この担保権者の優先権は尊重されるべきです。そこで,破産手続においては,担保権者に「別除権」という優先権が認められることがあります。
破産手続においては,破産債権者は配当のみによって債権回収を図ることができるにすぎなくなりますが,別除権者は,その別除権である担保を実行して,破産手続外で優先的に弁済を受けることができるのです。
取戻権
破産手続において破産財団に組み入れられて,各債権者への弁済や配当の原資となる財産は,法人・会社が破産手続開始時に有している財産ですが,中には,外形上破産法人が有しているようにみえても,実際には別に真の権利者がいるというような場合もあります。
そのような場合に,実際には別に権利者がいる財産を換価処分してしまえるとすると,その権利者は大きな不利益を被ることになります。
そこで,真の権利者には,破産法人・会社のもとにある財産を取り戻す権利が認められています。これを「取戻権」といいます。
相殺の取扱い
相殺とは,ある同種の債務を負担する2人が,互いに対当額で債務を消滅させる旨の意思表示のことをいいます。
相殺には,自己の有する債権を消滅させる代わりに相手方に対する債務も消滅させることができるため,担保的機能があるといわれています。
破産手続においても,相殺の担保的機能が尊重されており,破産債権者は破産債権と破産者に対する債務とを,破産手続によらずに相殺できるとされ,しかも一般原則よりも相殺できる範囲が拡張されています。
もっとも,その反面,他の債権者との平等も図る必要があることから,破産手続開始後に破産者に対する債務を新たに負担した場合や破産債権を新たに取得した場合などには,相殺が禁止されています。
なお,破産管財人は,破産債権者の一般の利益に適合するときには,裁判所の許可を得て破産者の有する債権と破産債権を相殺できます。
債権調査手続
破産手続においては,破産財団を債権者に対して公平に分配することが重要な目的ですから,どのような債権者がいるのか,債権の額はいくらなのかなどを正確に把握しておかなければいけません。
そのため,破産手続内において債権調査手続が行われます。
具体的には,裁判所または破産管財人から各債権者に対して通知を送り,各債権者は,裁判所または破産管財人に対して債権を届け出ます。この届出をもとに,破産管財人が債権を調査していくことになります。
破産手続の終了
破産手続は「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」には,廃止されます。廃止とは,破産者の精算が終了する前に破産手続を終結させるということです。
破産手続の開始と同時に破産手続を廃止することを同時廃止といい,開始決定後に破産手続を廃止することを異時廃止といいます。また,債権者の同意によって破産手続を廃止する同意廃止もあります。
他方,破産財団が形成されて,破産手続費用のみならず,破産債権者に対して配当をすることもできた場合には,その配当の完了後に,破産手続は裁判所の終結決定によって終了することになります。
なお,破産手続開始決定が取り消された場合や他の倒産手続が開始されることによって破産手続が失効した場合も,破産手続は終了することになります。
破産犯罪
破産法は債権者や利害関係人に大きな不利益を与える可能性の高い手続である以上,手続は厳格・誠実に行われる必要があります。
そこで,破産法では,破産手続において債権者の利益または債権者の平等・公平を害する行為については,その行為を犯罪として扱い,刑罰を科することとしています。「破産犯罪」と呼ばれています。
>> 破産犯罪とは?
法人・会社の自己破産申立てに強い弁護士
法人・会社の破産手続は,個人(非事業者)の破産手続よりもかなり複雑かつ厳格です。安易に財産等の処理をしてしまうと,破産手続中に大きな問題となってしまうおそれがあります。
したがって,法人・会社について破産手続をする場合には,法律の知識が必要となってきます。法律の専門家である弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
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